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パーマネント野ばら
（2010年 日本）（上映時間1時間40分）
監督：吉田大八
出演：菅野美穂、小池栄子、池脇千鶴、畠山紬、宇崎竜童、夏木マリ、江口洋
介、加藤虎ノ介、山本浩司
＊新宿ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://www.nobara.jp/
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＜ストーリー＞
離婚して一人娘とともに、海辺の町の実家に戻ったなおこ（菅野美穂）。そこ
は町で一軒だけの美容室「パーマネント野ばら」だった。女たちはそこに集ま
り、あけすけな話をぶつけ合っていた。そんな中、なおこの友達のみっちゃん
（小池栄子）は、浮気癖の収まらない夫に手を焼いていた。もう1人の友達のと
もちゃん（池脇千鶴）は、ギャンブルに溺れて行方不明となった夫を心配して
いた。そして、なおこは、高校教師のカシマ（江口洋介）と恋愛中だったが…
…。
＜レビュー＞
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あけすけな恋愛話に笑い、そしてちょっぴり切なさも・・・
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西原理恵子のコミックの映画化。離婚して一人娘を連れて実家の美容室を手伝
っている主人公なおこと、彼女の友人たちをはじめ周辺の人々を描いたドラマ
です。
ダメダメ男に悩まされながらも、たくましく生きる女性たちが登場するところ
は西原ワールドそのもの。
なおこの母親は、夫が別の女の家に行ったまま帰ってきません。一方、なおこ
の友人でフィリピンパブを経営するみっちゃんは、浮気夫に悩まされています
（しかも、父ちゃんも物凄いことになっている……）。同じくなおこの友人の
ともちゃんは、夫がギャンブル漬けになって失踪中。
しかし、こんなにひどい状況なのに、彼女たちはけっしてめげません。何度ダ
メ男に引っかかっても、恋なしに生きられないわが身を熟知し、ひたすら前向
きに生きていきます。それを明るくユーモラスに描いていきます。みっちゃん
と夫との壮絶すぎるバトルさえ、あまりの破天荒さにゲラゲラ笑ってしまいま
す。
そんな彼女たちと対照的なのが、主人公のなおこの恋。高校教師のカシマと恋
愛中の彼女ですが、それは周囲の恋とは違い、静かでギトギトしたところがま
ったくない、ある意味存在感が希薄とも思える恋なのでした。
それもそのはず、実はこの恋には裏があって、それが最後のほうで明かされま
す。正直、途中でほぼ予想がつくし、かなりあざとい仕掛けではあるのですが、
それでもけっこう切なさが漂ってきます。そして、最後には温かな気持ちにな
りました。
それというのも、菅野美穂、小池栄子、池脇千鶴、夏木マリという4人の女優た
ちの演技のなせるワザでしょう。特に菅野が電話ボックスで、胸の内をぶちま
けるシーンは胸にグッときました。美容室に集まるオバサンたちもいい味を出
しています。
そうした女優たちの微妙な表情の変化をうまく捉えた、『腑抜けども、悲しみ
の愛を見せろ』『クヒオ大佐』の吉田大八監督による演出もなかなかのもの。
なおこの恋を前面に出すのではなく、周辺の人々の恋愛模様の合間に、なおこ
の恋を挟み込んだのが正解。
どうしようもないことばっかりだけど、ケセラセラ。きっと明日はいい日にな
るさ。そんな西原ワールドの空気感がうまく出た映画です。人間に対する温か
な視線が心地よくて、ダメ男たちまでいとおしくなってくるから不思議なもの。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（切なくて温かな女たちの物語。西原マンガのファンでなくても楽しめそう。
女優たちの演技だけでも観る価値はあるかと・・・。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年5月22日（土）シネ・リーブル池袋にて。午後2時の回
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