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Dr．パルナサスの鏡
（THE IMAGINARIUM OF DOCTOR PARNASSUS）
（2009年 イギリス・カナダ）（上映時間2時間4分）
監督：テリー・ギリアム
出演：ヒース・レジャー、クリストファー・プラマー、ジョニー・デップ、ジ
ュード・ロウ、コリン・ファレル、リリー・コール、アンドリュー・ガーフ
ィールド、バーン・トロイヤー、トム・ウェイツ
＊よりTOHOシネマズ有楽座ほかにて全国公開
ホームページ http://www.parnassus.jp/
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＜ストーリー＞
魔法の鏡で人々の隠れた欲望を形にするパルナサス博士（クリストファー・プ
ラマー）の幻想館。ロンドンの町で一座を率いて公演するが、客はあまり集ま
らない。そんなある日、悪魔のニックが勝負を持ちかける。かつて一人娘ヴァ
レンティナ（リリー・コール）を16歳の誕生日にニックに差し出すことを条件
に、永遠の命を手に入れたパルナサス博士だが、勝負に勝てばその約束を取り
消すという。そこで博士は新たに一座に加わったナゾの男トニー（ヒース・レ
ジャー）の協力で最後の勝負に出るのだが……。
＜レビュー＞
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人々の欲望を映像化した不思議で楽しい映像空間
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ヘンな映画です。でも、テリー・ギリアム監督のことを知っている人なら納得
の映画です。
ロンドンの町で公演するパルナサス博士の幻想館という見世物小屋。鏡の向こ
うに入ると、そこは客の欲望を具現化してくれる場所。だが、博士はかつて悪
魔のニックと取引して、恋を成就させる代わりに娘を16歳の誕生日にニックに
差し出すことを約束していました。そんな博士に対してニックが新たな勝負を
申し出ます。勝負に勝てば、娘を差し出さなくてもいいというのです。そこで、
博士は一座に助けられた記憶喪失の男トニーらの協力を得て、最後の勝負に打
って出るのですが……。
テリー・ギリアムの映画らしいシニカルでユーモアに満ちた世界です。中でも
最大の見せ場は幻想館の鏡の向こう。そこは、アル中、イタズラっ子、ハイソ
なおばさまなど、訪れた人の欲望がそのまま映像として目の前に広がる不思議
な空間。「よくこんなことを思いつくなぁ」と感心するばかり。ＣＧを駆使し
つつも、手づくり感を漂わせる独特の映像タッチにも、ギリアム監督のこだわ
りを感じさせます。
明確なテーマやメッセージがあるわけではありません。それでも、人間の想像
力の豊かさや欲望の罪深さなどがチラチラと見えてきたりもします。
ラストのまとめ方もいかにもギリアム監督らしいところ。ファンタジーの王道
をふまえつつ、最後まで皮肉とユーモアがタップリ。エンドタイトルの後に流
れる子どもたちの歌とポケベル音も笑えます。
本作はトニー役のヒース・レジャーの急死によりいったん製作が中断。その後、
鏡の向こうの世界に入ったトニーの顔が変わるという設定にして、ジョニー・
デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルがトニーを演じ分けるという奇策
を使い、完成にこぎつけました。ある意味、苦しまぎれの作戦ともいえますが、
それが逆にこの映画の魅力をアップさせています。
パルナサス博士役の名優クリストファー・プラマー、悪魔ニック役のトム・ウ
ェイツ（シンガー・ソングライターとしても有名）、いかにもファンタジーに
ふさわしい女の子役のリリー・コールなど、その他の配役もピッタリ。
独特の魅力にあふれたイマジネーションの世界を堪能する映画。テリー・ギリ
アム監督の世界を体験していないと戸惑うかもしれませんが、伝説の『モンテ
ィ・パイソン』以来、ずっと注目してきた身としては十分に楽しめました。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆（＋1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（なんとも不思議なイマジネーションの世界が展開するファンタジー。一度体
験してみても損はないのでは？）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年1月23日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時の回。
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