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パビリオン山椒魚
（2006年 日本）（上映時間１時間38分）
監督：冨永昌敬
出演：オダギリジョー、香椎由宇、高田純次、麻生祐未、光石研、KIKI、キタ
キマユ、斉藤陽一郎、杉山彦々、津田寛治
＊シネセゾン渋谷ほかにて公開。順次全国公開
ホームページ http://www.pavillion.jp/
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＜ストーリー＞
自称"21世紀の天才レントゲン技師"飛鳥芳一（オダギリジョー）は、ある日、
第二農響会長の香川（光石研）から、かつてパリ万博に出品された伝説の動物
国宝オオサンショウウオの"キンジロー"が本物かどうかレントゲンで調べてほ
しいという依頼を受ける。そんな彼の前に、キンジローを管理する"キンジロー
財団"を運営する二宮家の四女あづき（香椎由宇）が現れるのだが……。
＜レビュー＞
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ハチャメチャだけど妙に味のあるコメディータッチの大騒動劇
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タイトルがブッ飛んでますよね。ハピリオンだもの。山椒魚だもの。
ただし、ストーリーの柱はまるでテレビの２時間サスペンス。あるお宝をめぐ
って、それを管理する財団と敵方の組織とが暗躍し、ついには殺人事件まで起
きてしまう。さあ、犯人は誰だ？？？ てなもんです。
ところが、それを肉付けする設定が超ユニーク。問題のお宝というのが、タイ
トルにもあるオオサンショウウオ。しかも、パリ万博にも出品されたという150
歳の動物国宝。
それを取り巻く人々はみんなアブナイ人たちばかり。財団の美人４姉妹のうち
３人はどう考えてもマトモじゃない。麻生祐未演じる姉には、何やら大きな秘
密がありそう。家を追い出された元当主（高田純次）もヘンな人。唯一マトモ
そうな香椎由宇演じる四女にしても、その行動は、大胆というか、無軌道とい
うか……。財団の敵方組織・第二農響の会長もアヤシすぎです。
しかし、いちばんヘンなのはオダギリジョー演じるレントゲン技師かもしれま
せん。特に後半に行くにつれて、どんどんヘンになっていきます。ワケのわか
らん方言（？）を駆使して、ヒーローを気取るところはもはやバカとしか言い
ようがありません。
こんな強烈な個性の人々が、ああでもないこうでもないと、大騒ぎするわけで、
そこには当然笑いが生まれてきます。
ただし、途中まではあんまり笑えなかったんです。笑いのツボが微妙にずれて
いる感じがして、ついていけませんでした。登場人物の強烈な個性や、アドリ
ブっぽいセリフなんかも駆使して、それなりにおもしろいものの、ちょっと上
っ滑りだなぁ〜。
ところが、ところが、そこをグッとガマンして観ていたら、後半になってけっ
こう笑えたんですよ。これが。爆笑じゃないけど、クセになりそうな不思議な
笑い。
それにオオサンショウウオのキンジロー君がいい味を出しています。芳一とあ
づきのラブシーンの時なんか特に……。
ラブストーリー、家族ドラマ、サスペンス、アクションといろんな要素を散り
ばめつつ、どんどん暴走していくヘンな映画。殺人犯への復讐劇が展開される
ラストは、一見サスペンスのお約束風。ところが、突然ハチャメチャになって
エンディング。そんなのアリかよ？
いやいや、ここだけでなく、ある意味全体がそんなのアリかよ？ の連続。ま
ともに観ていたらやってられません。
まるで飲み屋のバカ話から誕生したような映画。しかし、もしかしたら、とん
でもなく深いテーマを秘めているような気もしないではない。うーん、なんな
んだ？ この映画ったら。
てことで、ワケはわからんのですが、妙な魅力あり。ハズレを覚悟で観に行く
と、意外に当たり！の人も多いかもしれません。
ちなみに、冨永昌敬は自主製作映画の監督で、これが長編デビュー作。音楽は
最近売れっ子のジャズミュージシャ菊地成孔。そして、香椎由宇が相変わらず
美しい〜〜！！
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（どなたにでもオススメはできませんが、不思議な魅力を持った映画。ツボに
ハマれば大好きになるかも。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2006年10月7日（土）シネセゾン渋谷にて。午後2時10分の回
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