パフューム ある人殺しの物語
(PERFUME: THE STORY OF A MURDERER)
(2006年 ドイツ・フランス・スペイン)(上映時間2時間27分)
監督:トム・ティクヴァ
出演:ベン・ウィショー、ダスティン・ホフマン、アラン・リックマン、レイ
チェル・ハード=ウッド、アンドレス・エレーラ、サイモン・チャンドラー
*サロンパス ルーブル丸の内ほか松竹・東急系にて全国公開
ホームページ http://perfume.gyao.jp/
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<ストーリー>
18世紀のパリ。悪臭立ちこめる魚市場で産み落とされたグルヌイユ(ベン・ウ
ィショー)は、育児所に引き取られる。彼は超人的な嗅覚の持ち主だった。や
がて青年となったグルヌイユは、ある時、少女の匂いにひかれあとをつけるが、
誤って彼女を殺してしまう。それ以来、彼は少女の香りを再現することに執着
し、香水調合師バルディーニ(ダスティン・ホフマン)に弟子入りするのだが
……。
<レビュー>
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ちょっと変わった猟奇殺人モノ。匂いを表現した映像が見応えあり
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パトリック・ジュースキントのベストセラー小説の映画化。監督は『ラン・
ローラ・ラン』のトム・ティクヴァ。
早い話が猟奇殺人犯ネタの時代劇サスペンス。他人にない能力を持った男がそ
の能力ゆえに殺人に走る狂気を描いています。
これだけなら、よくある話ですが、その特殊能力が嗅覚だというのがユニーク
なところ。18世紀の悪臭漂うパリを舞台に、生まれて間もなく孤児院に入った
主人公が青年になり、香りに執着して香水調合師になります。
映画で匂いを表現するのは困難なこと。少し前に、劇場で香りを流す試みがあ
ったと記憶していますが、そんなのは特別なケースでしょう。
ところが、この映画ときたら映像だけで、巧みに匂いを表現しているのです。
鮮やかなイメージ映像、意表を突いたカメラワーク、奔放な映像テクニック。
少女の匂いに惹かれた主人公が死体の匂いをかぐシーンには、おぞましさより
も、官能的な雰囲気が漂います。
もちろん、どんな匂いかは観客それぞれが想像するしかないのですが、そのイ
マジネーションを刺激してくれる映像です。良い匂いだけでなく、魚市場の腐
臭なども巧みに表現。
前半から中盤にかけてどんどん狂気に走る主人公。そして、後半になると徐々
に追いつめられて……となるのですが、そのあとも一筋縄では行きません。
クライマックスでは驚愕の展開が待っています。あんな展開は全く予想外(原
作も読んでいないし)。70代ヒッピー風集団ラブ&ピース・シーンというか、
集団乱交というか(笑)。
「やりすぎだろう!」と思うぐらいのシーンではありますが、圧倒されるのは
間違いなし。確かに香りの持つパワーを示す点では効果的。その後の主人公の
運命ともども、「いくら強大な権力を持とうとも、愛だけは手に入れられな
い」というメッセージも伝わります。
主人公役のベン・ウィショーは、静けさの中に秘めた狂気がなんともコワイで
す。そして、ダスティン・ホフマン、アラン・リックマンの存在感も見事。2
人ともけっこうノリノリで演じていますね。
主人公が惹かれる令嬢役のレイチェル・ハード=ウッドが、もう少し魅力的だ
と良かったのですが……。
事件の構図はほぼ見えているし、緊迫感もイマイチなので、サスペンスとして
はそれほどの魅力はありません。その代わり、映像は圧巻で一見の価値があり
ます。リアルなサスペンスではなく、ある意味、毒に満ちた大人のファンタ
ジーといえる映画かもしれません。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
(映像はかなり見応えあり。ハラハラのサスペンスにはあまり期待せずに、映
像を中心に楽しんでください。)
<ぽち>
〔鑑賞データ〕
2007年3月3日(土)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後3時20分の回
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