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ペルシャ猫を誰も知らない
（KASI AZ GORBEHAYEH IRANI KHABAR NADAREH）
（2009年 イラン）（上映時間1時間46分）
監督：バフマン・ゴバディ
出演：ネガル・シャガギ、アシュカン・クーシャンネジャード、ハメッド・
ベーダード
＊ユーロスペースほかにて公開
ホームページ http://persian-neko.com/
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＜ストーリー＞
ミュージシャンのカップル、ネガル（ネガル・シャガギ）とアシュカン（アシ
ュカン・クーシャンネジャード）は、テヘランでの活動を諦め、海外への出国
を決意する。違法なパスポートやビザを手配してもらうため、便利屋ナデルの
もとを訪ねる2人。彼らの才能に惚れ込んだナデルは、出国前に当局の許可を取
り付け、アルバム制作とコンサートを実現させると約束する。そのためにバン
ドメンバーを探す2人だったが……。
＜レビュー＞
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イラン社会の現状を背景とした生き生きとした青春映画
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厳しい統制下にあるイランの若者の現状を描いた映画。ただし、そうした社会
状況を前面に出しすぎず、生き生きとした青春映画として描いています。
主人公は音楽好きのネガルとアシュカンのカップル。しかし、CD発売もコン
サートも音楽活動には役所の許可が必要。無許可で行動すば逮捕も珍しくない
イラン国内での音楽活動に嫌気が差した2人は、国外に逃れて活動をしようと考
える。そのために仲介人の男に協力を依頼するものの……。
国外でのバンド活動のためにネガルとアシュカンがメンバーを集めたり、資金
稼ぎのコンサートの準備をしたり、ニセのパスポートやビザを用意する様子が
描かれます。
撮影許可なしにゲリラ撮影を敢行したことで、よりリアルでライブ感あふれる
映画になっています。暗い現状でも、けっしてめげずに前向きに音楽に取り組
んでいく若者たちの姿が印象的です。
ユーモアタップリなのもこの映画の特徴。ネガルとアシュカンをサポートする
男は速射砲のごとく話し続けるおしゃべり男。彼を中心にあちらこちらで笑い
が巻き起こります。
ミュージックビデオのような映像が全編に散りばめられているのも魅力。ロッ
ク、ヘビメタ、ラップなど、様々なイランのアンダーグラウンドのバンドの演
奏に乗せて、イランの今をとらえた映像が映し出されます。
物語は、ネガルとアシュカンがようやく外国行きのめどがついたと思えたとこ
ろで、悲劇へと向かいます。この手の青春ドラマにありがちな展開とはいえ、
心にグッときます。何よりも、若者たちをそうした運命に追いやった現在のイ
ラン社会にも、思いをめぐらせずにはいられません。
生き生きとした青春映画であると同時に、音楽映画としてもかなりのクオリテ
ィー。そして、なんといってもイランの現状に対する異議申し立ての映画とし
て、見応えある作品です。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（生き生きとした青春映画。イランの現在の状況を知る意味でも観る価値はあ
ります。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年8月28日（土）ユーロスペースにて。午後2時10分の回
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