|
プラネット・テラー in グラインドハウス
（Planet Terror）
（2007年 アメリカ）（上映時間１時間45分）
監督・製作・脚本・撮影・編集・音楽：ロバート・ロドリゲス
出演：ローズ・マッゴーワン、フレディ・ロドリゲス、マイケル・ビーン、ジ
ェフ・フェイヒー、ジョシュ・ブローリン、マーリー・シェルトン、ナビー
ン・アンドリュース、ステイシー・ファーガソン、ブルース・ウィリス、クエ
ンティン・タランティーノ
＊TOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて全国公開
ホームページ http://www.grindhousemovie.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
テキサスの田舎町の軍事基地で密かに取引されていた生物化学兵器が流出。そ
のガスを浴びた人々は次々と凶暴なゾンビに姿を変える。ゴーゴーダンサーを
していたチェリー（ローズ・マッゴーワン）は、ゾンビに片脚を奪われてしま
うが、元恋人レイの助けを借り、失った脚にマシンガンを装着してゾンビたち
と死闘を展開する……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
Ｂ級映画をきっちりつくったロバート・ロドリゲス監督の職人技
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
かつてアメリカにあったＢ級映画を２本立て、３本立てで上映する映画館"グラ
インドハウス"。それを現代に甦らせようとクエンティン・タランティーノ監督
と盟友ロバート・ロドリゲス監督が競作した２本立てムービーのうちのロドリ
ゲス版です。
昔の雰囲気を再現するために、フィルムにわざと傷をつけたりするところはタ
ランティーノ版と同じ。さらに、途中のベッドシーンで「（フィルムを）一巻
紛失しました。ゴメンナサイ」と断ってシーンを飛ばしたり、本編前に架空の
アクション映画「マチェーテ」の予告編を上映するなど、凝りに凝った工夫が
目を引きます。
タランティーノ版と同様に、こちらもＢ級ホラー映画のスタイルをとっていま
す。ただし、タランティーノ版が生身のカーアクションを中心に据えたアクシ
ョン映画の要素が強かったのに対して、こちらはＢ級ホラーの王道のような映
画。
生物化学兵器の感染者たちがゾンビとなり、人間を襲いだす。それに対して、
ゴーゴーダンサーのヒロインが、元カレの助けを借りて立ち上がる……という
のがストーリー。
そこにブルース・ウィリス演じる隊長率いる軍の暗躍、不仲の夫と危険な関係
にある女医の話、不気味なバーベキュー店主の兄と警察官の弟など、様々な登
場人物によるサブストーリーを織り込んでいます。
感心するのはバランスの良さ。気色の悪いスプラッター、ハラハラのアクショ
ン、そしてお色気と、Ｂ級ホラー映画の要素をどれも過不足なくキッチリと揃
えています。
それでいて破天荒さも失っていません。片脚を失ったヒロインが義足代わりに
マシンガンを装着して、ゾンビたちをバリバリと打ち倒すところ。彼女の元カ
レがいきなり早撃ちのガンマンになって、正確無比な射撃を繰り広げるところ。
女医が注射針を武器にゾンビたちと死闘を展開するところなどなど、「ありえ
ねぇ〜」シーンが次々に登場。ツボを心得たブッ飛び方で、グイグイと観客を
引っ張っていきます。
まあ、とにかく脚本も演出も音楽も巧みです。もちろんすべてロドリゲス監督
自身が担当。けっして手を抜いていないから、Ｂ級ホラーといってもバカにす
る気にはなれません。
『デスペラード』『シン・シティ』などの破天荒な映画を撮ったかと思えば、
『スバイキッズ』のようなファミリー映画までつくるロドリゲス監督。その幅
の広さが十分に活かされています。自分の好きなことだけに集中するタランテ
ィーノ監督とは、ある意味、まったく違ったタイプの監督といえるかも……。
ちなみに、そのタランティーノが役者として良い味を出しています。主演は
『ブラック・ダリア』のローズ・マッゴーワン。
アクションのスゴさではタランティーノ版に軍配が上がりますが、総合力では
ロドリゲス版が勝利。これからも、お互いに頑張ってくださいませ。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆（＋1／2★）
（誰でも楽しめるホラー映画。とはいえスプラッター的な色彩が強いので、そ
ちらが苦手な方はやめておきましょう。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2007年9月22日（土）池袋シネマサンシャインにて。午後12時20分の回。
[「ふ」のページ] |
