プルーフ・オブ・マイ・ライフ(PROOF)
| （2005年 アメリカ）（上映時間１時間43分） 監督：ジョン・マッデン 出演：グウィネス・パルトロウ、アンソニー・ホプキンス、ジェイク・ギレン ホール、ホープ・デイヴィス、ダニー・マッカーシー ＊みゆき座ほか東宝洋画系にて全国公開 ホームページ http://c.gyao.jp/movie/proofofmylife/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ＜ストーリー＞ 数学者である父のロバート（アンソニー・ホプキンス）の死後、キャサリン （グウィネス・パルトロウ）は自分の人生を見つめ直し始める。そこに、父の 教え子だったというハル（ジェイク・ギレンホール）と、姉のクレアが相次い で訪ねてくる。ハルは父の書斎で画期的な数学的「証明（プルーフ）」の記さ れたノートを見つけるが……。 ＜レビュー＞ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 舞台劇の魅力が漂う。天才数学者の娘を描いた良質な人間ドラマ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 『恋に落ちたシェークスピア』のジョン・マッデン監督の作品。 天才数学者ながら晩年はイカレてしまった父親の最期を看取った娘。自分も妄 想を見るなどして、「もしかしてイカレるのでは？」という恐怖にとらわれて いる。でもって、家に引きこもる毎日。 そんな中、父が書き残したらしいノートが発見される。そこには世紀の大発見 が記されていた。ところが、娘はそれは自分が書いたものだと言い出す……。 要するに父の死と、自分の将来に対する恐怖から心に傷を負った女性が、ある ことをきっかけに未来へ向かって歩き始めるドラマ。それも中身がぎっしりと 詰まった濃密な人間ドラマで、最後まで飽きませんでした。 （⌒−⌒） 数学が大きなポイントになっているものの、ボクのような数学オンチでも問題 なく楽しめます。そのへんは、あまり深入りせずサラッと流しています。 観ていて感じたのは、なんだか舞台劇のような映画だなぁ〜、ということ。 主人公のほか、ニューヨークから駆けつけた姉、父親の教え子、そして回想や 妄想の中で登場する父親。彼らのセリフのやり取りを中心にドラマが進んでい くのですが、セリフの分量が多いし、怒鳴り合いがたくさんあって、いかにも 芝居みたいだなぁ〜、と思ったんです。 そしたら、これってもともと舞台劇なんですってね。しかも、戯曲を書いた人 がこの映画の脚本も書いているようです。 それがこの映画の良いところでもあり、物足りないところでもあるような気が します。舞台劇の持つ緊迫感やセリフのおもしろさを、そのまま生かしたおか げで、良質で奥行きのある人間ドラマになっています。その反面、舞台劇のカ ラーがあまりにも強すぎて、映画的な魅力に欠ける気がしました。 とはいうものの、後半の歴史的な発見をめぐるエピソードでは、サスペンス的 な魅力も味わえます。主人公が心を病んでいて、現実なのか、回想なのか、妄 想なのか、イマイチよくわからないというのが効果的に使われていて、なかな かおもしろい展開でした。 舞台俳優のような力量も要求される演技をこなしたグウィネス・パルトロウは、 一段と良い女優になった感じ。ジェイク・ギレンホールやホープ・デイヴィス もなかなかの演技。アンソニー・ホプキンスについては、何も申しますまい。 存在感ありすぎ。 ジミではあるけれど濃密で良質な人間ドラマで、ケチのつけようがありません。 主人公の心の内面がよく描かれています。ただし、あまりにも巧みにまとめら れすぎていて、逆に物足りなさを感じてしまいました。主人公と父の教え子と の恋なんて、なんだかお手軽にまとめている気もするし……。うーん、もう少 し「何か」が欲しかったと思うのは欲張りですか？ 《ぽちのオススメ度》 ★★★☆☆ （舞台劇の魅力をうまく生かした良い映画。でも、個人的には物足りなさが残 りました。） ＜ぽち＞ 〔鑑賞データ〕 2006年１月14日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後５時の回 |