|
パブリック・エネミーズ（PUBLIC ENEMIES）
（2009年 アメリカ）（上映時間2時間21分）
監督：マイケル・マン
出演：ジョニー・デップ、クリスチャン・ベール、マリオン・コティヤール、
ビリー・クラダップ、スティーブン・ドーフ、スティーブン・ラング
＊TOHOシネマズスカラ座ほかにて全国公開
ホームページ http://www.public-enemy1.com/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
大恐慌時代のアメリカ。「汚い金だけを盗む」というポリシーの銀行強盗ジョ
ン・デリンジャー（ジョニー・デップ）は民衆の支持を受け、大胆不敵な犯行
と脱獄を繰り返していた。やがて、デリンジャーはビリー・フレシェット（マ
リオン・コティヤール）と出会い恋に落ちる。そんな中、ＦＢＩはデリンジ
ャーを"社会の敵（パブリック・エネミー）No.1"と呼んで、メルヴィン・パー
ヴィス（クリスチャン・ベール）の指揮の下、彼を追い詰めていくのだが……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
スタイリッシュでカッコよすぎる銀行強盗とＦＢＩのバトル
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
大恐慌時代のアメリカを騒がせた伝説の銀行強盗ジョン・デリンジャーを描い
た映画。
冒頭は、刑務所のシーン。デリンジャーが収監？そんなに早く捕まってどうす
るの？と思ったらアララララ。仲間を脱獄させて、銀行強盗を決行します。そ
の後も、銀行強盗を繰り返すものの、ＦＢＩの追跡で意外にあっさり御用。と
ころがまたしても……というワケで一筋縄ではいかないデリンジャーと、彼を
追うパーヴィス率いるＦＢＩとの戦いを軸にした展開です。
なんといっても見どころは、アクションシーンです。『コラテラル』『ヒー
ト』『インサイダー』のマイケル・マン監督らしいアツいシーンが連続。デリ
ンジャーによる銀行強盗、逃走劇、ＦＢＩによる追跡劇、そして銃撃戦とスリ
リングで迫力満点のシーンばかりです。特に手持ちカメラを使ったドキュメン
タリータッチの映像が圧巻
一方、その間には、デリンジャーと恋人ビリー（演じるのは『エディット・ピ
アフ〜愛の讃歌〜』のマリオン・コティヤール）とのロマンスも描かれます。
最初はありがちで中途半端な恋愛劇だと思ったのですが、実はこれも物語の本
筋であるデリンジャーとＦＢＩとの対決に大きく関わってくるのでした。
この映画の大きな特徴は、明確な人間ドラマを描いていないところ。たとえば、
デリンジャーがどうして犯行を続けるのかといった背景を描くこともなく、
「汚い金しか盗まない」と義賊を気取る彼のヒーローぶりを描くこともありま
せん。明確な視点で被写体に寄り添って何かを描くというよりは、一歩引いて
目の前で起きていることをリアルにそのまま見せようとしています。
まあ、このへんは賛否が分かれそうですが、個人的には中途半端な人間ドラマ
を織り込むよりも、かえって面白かったと思います。
それというのも、やはりジョニー・デップがデリンジャーを演じたからこそ。
普通なら笑ってしまいそうなキザなセリフを連発しても、違和感がありません。
そして、それにまったく負けていないのが、パーヴィス捜査官を演じるクリス
チャン・ベールです。冷徹で、緻密にデリンジャーに迫っていきながらも、ビ
リーに対して優しさを示すあたりのサジ加減が素晴らしい。ミスター・クー
ル！！2人ともカッコよすぎです。
クライマックスの映画館でのシーンもいいですね。そこで上映される映画の登
場人物とデリンジャーをダブらせる憎い仕掛けで、決着へと向かいます。
ＦＢＩ捜査官がビリーに伝言を伝えるラストも印象的です（この捜査官を演じ
るスティーヴン・ラングもカッコよすぎ！）。
中途半端な人間ドラマを描かずに、アクションに徹したのが結果として正解だ
った気がします。見応え十分の映画です。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆（+1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（+1／2★）
（人間ドラマはほとんどない代わりに、スリリングなアクションが満載。しか
もスタイリッシュでカッコいい映画です。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2009年12月13日（日）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後3時30分の回
[「は」のページ] |