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００７／慰めの報酬（QUANTUM OF SOLACE）
（2008年 アメリカ・イギリス）（上映時間1時間46分）
監督：マーク・フォースター
出演：ダニエル・クレイグ、オルガ・キュリレンコ、マチュー・アマルリック、
ジャンカルロ・ジャンニーニ、ジェマ・アータートン、ジェフリー・ライト、
ジュディ・デンチ、イェスパー・クリステンセン
＊丸の内ルーブルほかにて全国公開中
ホームページ http://www.sonypictures.jp/movies/quantumofsolace/
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＜ストーリー＞
恋人ヴェスパーを亡くしたボンド（ダニエル・クレイグ）は、真相を究明すべ
くハイチに飛ぶ。そこでカミーユという謎の女性と出会い、彼女を通じて、ヴ
ェスパーを死に追いやった謎の組織の幹部ドミニク・グリーン（マチュー・ア
マルリック）に接近する。上司Ｍ（ジュディ・デンチ）から、グリーンの陰謀
を阻止する任務を命じられるボンドだったが……。
＜レビュー＞
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善悪が明確でない今の時代を映し出したダークなジェームズ・ボンド
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前作『カジノ・ロワイヤル』に引き続きダニエル・クレイグがジェームズ・ボ
ンドに扮した「007シリーズ」。監督は『チョコレート』『ネバーランド』の
マーク・フォースター。
前作『カジノ・ロワイヤル』のエンディングの１時間後から始まるという設定。
恋人を失ったボンドが謎の組織の存在に迫っていきます。
今回もすさまじいアクションが満載です。冒頭のスリリングなカーチェイスか
ら始まって、全編に迫力のアクションシーンが散りばめられています。世界各
地を舞台に、ジェームズ・ボンドが陸、海、空と大暴れします。あまりのハイ
テンションのアクションに、何度も目が点になってしまいました。
しかし、スカッとできる映画ではありません。前作もそうだったのですが、昔
の「007」シリーズのようなお気楽で明快なタッチとは正反対。暗くて、複雑な
展開になっています。
特に今回は、前作で恋人を失ったボンドが復讐心を燃やすという設定。そのた
め、「お前は殺人鬼か！？」というぐらい情け容赦なく人を殺し、ますます
ダークな世界に入って行きます。もはや昔のボンドの面影はなし、陽のヒー
ローではなく、「陰のヒーロー」といってもいいかもしれません。なにしろ、
所属する諜報組織からも警戒され、支援を受けられなくなってしまうのですか
ら……。
かつてのような「善ＶＳ悪」というシンプルな図式も、もう見られません。昔
の敵はわかりやすい敵で、観客みんなの憎悪を一身に集めたわけですが、そん
な単純なことにはなりません。
敵は謎の組織。今回登場するグリーンという人物は、表向き環境保護のための
慈善団体を運営。さらに、それにアメリカのＣＩＡが肩入れし、英国政府まで
彼に接近しようとします。
いったい何が善で何が悪なのか。観ていてそれさえ迷ってしまう状況です。こ
うなると、ボンドが敵を倒す時にも、昔のようなカタルシスはありません。
昔のボンドを知っている人は、あまりの違いに愕然とするかもしれません。そ
れほどイメージが一新してしまいました。
しかし、個人的には、こういうボンドで正解だと思います。何しろ世の中は複
雑になって、単純な善悪は通用しない時代。昔と同じお気楽ボンドなんて、ウ
ソくさくてたまりません。映画が時代を映す鏡なら、まさにここにいるのは、
現代を映し出したジェームズ・ボンド。だからこそ、見応えがあるのです。
今回の敵役マチュー・アマルリックのクセモノぶりも見事でした。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（昔のボンドが好きな人はガッカリしそうですが、これはこれで見応えがあり
ます。今の時代を映し出したジェームズ・ボンドは一見の価値あり）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2009年2月1日（日）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後3時の回。
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