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クワイエットルームにようこそ
（2007年 日本）（上映時間1時間58分）
監督・脚本：松尾スズキ
出演：内田有紀、宮藤官九郎、大竹しのぶ、蒼井優、りょう、中村優子、高橋
真唯、馬渕英俚可、筒井真理子、平岩紙、妻夫木聡、塚本晋也
＊シネマライズ、シネカノン有楽町2丁目ほかにて全国公開
ホームページ http://www.quietroom-movie.com/
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＜ストーリー＞
フリーライターの佐倉明日香（内田有紀）が目覚めると、真っ白な部屋でベッ
ドに拘束されていた。そこは、精神科の女子閉鎖病棟の中にある保護室。薬と
アルコールの過剰摂取で昏睡状態となり運ばれて来た明日香だったが、彼女に
はその記憶がない。やがて奇妙な患者たちとの病院生活を続ける彼女に、ある
事実が突きつけられる……。
＜レビュー＞
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ハチャメチャな笑いと同時に主人公の心の傷を描いたコメディー
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病院を舞台にした物語。といっても、涙ポロポロの難病ものではありません。
精神科の病棟を舞台にしたハチャメチャな喜劇。松尾スズキが自身の小説を映
画化。『恋の門』に続く監督第二作です。
主人公はフリーライターの明日香。仕事に追われていたある日、目覚めると真
っ白な部屋（クワイエットルーム）でベッドに拘束されている。彼女自身の記
憶は曖昧なのだが、どうやら薬とアルコールの過剰摂取、いわゆるオーバー
ドーズというヤツで病院に運ばれたらしい。
そこは精神科の女子閉鎖病棟。ユニークすぎる患者たちと看護師がいる場所。
彼女たちとの生活を続けながら、一刻も早く"シャバ"に出ようとする明日香。
そんな彼女の14日間の病院生活を描いたのがこの映画。
最初に言ったようにベースはハチャメチャな喜劇です。笑いにかけては定評の
ある松尾作品だけに、文句ナシに笑えるネタのオンパレード。漫才のようなネ
タやお下品な下ネタから、はては歌や踊りまで。いろんなネタで笑わせてくれ
ます。
最大の魅力は、登場人物のキャラが立っていること。特に、病院の患者たちが
強烈です。大竹しのぶ演じる過食症の元ＡＶ女優、蒼井優演じる拒食症の女な
ど、いずれも個性的過ぎる面々ばかり。りょう、平岩紙などが扮する看護師も
ユニークです。内田有紀演じる主人公、宮藤官九郎演じるそのダンナ、塚本晋
也の元夫なども個性的で楽しい笑いを生み出します。
ほとんどセリフのない役やチラッとだけ出てくる役まで見事なキャラのつくり
こみ。ハリセンボンの２人、高橋真唯、馬渕英俚可、徳井優、庵野秀明あたり
がいい味を出しています。
松尾監督の前作『恋の門』は、笑いはともかく、ドラマ的にはとっ散らかりす
ぎていて、正直、かなり物足りなかったのが事実。だから、今回もドラマ的に
はあまり期待していませんでしたが、良い意味で予想を裏切られました。今回
は人間ドラマも、それなりにきちんと描かれています。
主人公の明日香には過去の大きな傷があります。離婚とそれをめぐる衝撃の出
来事、そして現在の夫の存在……。それが病院送りの原因にもなったのですが、
彼女の記憶が曖昧だという設定を生かして、意外な事実を少しずつ明らかにし
ていく手法が効果的です。
ただし、あまりにもたくさんの人物が出てくるので、描ききれていない部分も
目につきます。そんな中途半端なドラマならカットしたほうが良かったので
は？と思える人物も何人かいます。中心が明日香のドラマからブレていないの
で、それほど散漫な印象はありませんでしたが……。
ラストは一つの旅立ちを静かに描きます。前半のお気楽さと対照的な苦味のあ
るシーンが印象的です。そして、さらにエンドロールで小ネタで笑わせる凝っ
た仕掛け。筒井真理子の自転車が……。松尾監督ッたら、やっぱり最後は笑い
なのね。
いろいろあった内田有紀ちゃんですが、女優復帰して正解ですね。これだけ存
在感のある演技ができるんですから。コメディエンヌとしての素質はなかなか
のもの。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆（＋1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（ただのハチャメチャコメディーかと思いきや、主人公のドラマもそれなりに
描けています。個人的には『恋の門』よりもはるかに面白い映画でした。）
（ぽち）
〔鑑賞データ〕
2007年10月24日（水）池袋HUMAXシネマズ4にて。午後1時の回。
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