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乱暴者の世界
（2010年 日本）（上映時間1時間48分）
監督：中田圭
出演：林野健志、黒澤ゆりか、秋山真太郎、戸川昌子
＊シアターN渋谷ほかにて公開
ホームページ http://movie-indexgun.com/
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＜ストーリー＞
ライヴハウスでアルバイトをしながら作詞家を目指す恵介（林野健志）は、ロ
ック歌手を目指すあゆみ（黒澤ゆりか）と暮らしていた。ある日、２人の前に、
他人の心をあやつる能力を持った謎の男カミオ（秋山真太郎）が現われ、あゆ
みを奪い去ってしまう。カミオの能力によって周囲の人々から存在を消された
恵介は、たった１人でカミオに立ち向かうのだが……。
＜レビュー＞
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ダメダメ男が超能力者と対決する自主映画テイストあふれる映画
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日本の警察の腐敗ぶりを描いて話題になった『ポチの世界』の高橋玄監督が198
9年に手がけた自主制作映画を、『拳 ＦＩＳＴ』の中田圭監督がリメイクしたS
Fタッチの青春ドラマ。
作詞家志望といいながら、ライブハウスでバイトしながらいい加減な日々を送
る恵介と、それを支えるあゆみのカップル。ある日、彼らの前に超能力者が出
現し、あゆみが横取りされてしまう。それどころか恵介は社会的に存在しない
ことにされてしまう……。
いまどきの若者の内面を描いた青春ドラマを思わせるオープニング。ところが、
まもなくドラマはSFチックな展開へ。簡単に言えば、「超能力者ＶＳ彼の力が
及ばない唯一の主人公」が対決するお話です。超能力者は思い通りの世界を創
り上げてしまう男で、主人公を人々の記憶から消し去ってしまうという設定が
ユニーク。
とはいえ、SF映画としてはかなりのB級。特に超能力者に影響された人々の変化
がチープで笑えます。「そんなことねえだろう！」のツッコミどころも満載。
つまらないギャグの連発が不思議な味を生んでいます。まるでゾンビ映画のよ
うなシーンも登場。超能力者がウナギの蒲焼に食らいつくところなど、ワケの
わからないシーンも続出です。
しかし、そのおかげで飽きずに観られるのは確か。全編に疾走感あふれるロッ
ク・ミュージックが流れることもあって、そのテンポに乗って楽しく鑑賞でき
ました。なぜかシャンソン界の大御所・戸川昌子の歌唱シーンも流れたりして。
やがてドラマは拳銃を手にした主人公と超能力者との対決でクライマックスへ
……。
ラストは誰も想像しなかった驚きの展開。そりゃあまあ、確かに「パラレルユ
ニバース」が存在するとしたら、そういうこともあるでしょうが。
この映画はSF映画というよりも、青春映画として観るのが正解でしょう。怠惰
な日々を送り人生に真剣に向き合おうとしないダメダメ人間が、自分の存在を
抹殺されたことによってようやく遮二無二生きるようになり、ついには自分の
敵と対決する。そんな若者の生き直しのドラマとしては、それなりに魅力があ
ります。
しかも、驚きのラストによって、主人公のみならず対決相手の超能力者にも再
生の場を与えるという予想外の展開。しかし、何でそれが豆腐なんだ？？？
オリジナルが自主映画ということで、いかにもインディーズテイストに満ちた
作品。いろいろな意味で面白い映画でした。
主演は舞台版『テニスの王子様』の林野健志と劇団EXILE華組の秋山真太郎、共
演に黒澤ゆりか。撮影は日本のロック界で名を知られたカメラマンの井出情児。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（自主映画テイスト漂うSF青春映画。けっして完成度は高くありませんが、観
ていて飽きることはありませんでした。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年8月30日（月）映画美学校試写室にて
[「ら」のページ] |
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