|
裁判長！ここは懲役４年でどうすか
（2010年 日本）（上映時間1時間35分）
監督：豊島圭介
出演：設楽統、片瀬那奈、螢雪次朗、村上航、尾上寛之、鈴木砂羽
＊ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて公開
ホームページ http://www.do-suka.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
三流ライターの南波タモツ（設楽統）は、美人映画プロデューサーから依頼さ
れた「愛と感動の裁判映画」の脚本を書くために、裁判所に足を踏み入れて裁
判の傍聴を始める。だが、法廷は「愛と感動」どころか、笑ってしまうような
ヘンな裁判ばかりだった。傍聴マニアと親しくなったタモツは傍聴を続けるが、
ある日、美人鬼検事の長谷部真理（片瀬那奈）に「楽しいでしょうね、他人の
人生高みの見物をして！」と、きつい言葉を浴びせられてしまう……。
＜ストーリー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ホントにこんななのか！？裁判をネタにしたエンターティメント映画
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
裁判の傍聴経験をもとにした北尾トロのエッセイを映画化した作品。裁判劇と
いうと、奥深い人間ドラマを連想させますが、それとはまったく違って、裁判
のあれやこれやを面白おかしく描いた笑える映画です。
売れないライターが美人映画プロデューサーから「裁判ものの映画を作りた
い」と言われて脚本を依頼されたことから、裁判を傍聴することになります。
そこで目にしたのは、笑ってしまうような裁判ばかり。ある男が収穫した大根
の大きさをめぐって友人を殺害した事件、「歯が痛いから」覚せい剤を使った
という女の事件、AV3本を万引きしたうち「1本はついでだった！」と主張する
男の窃盗事件などなど……。
前半は、ふだんはめったに見ることのできない裁判の現場が、面白おかしく描
かれます。そこに登場するのは超個性的な裁判官、検事、弁護士、被告たち。
彼らの言動はツッコミどころ満載。漫才コンビバナナマンの設楽統が演じる主
人公が、それにツッコミを入れます。「傍聴席は立ち見不可！」と言われて
「シネコンかよ！」。
裁判所には本当にこんなに超個性派の人々が揃っているのでしょうか。まさに
奇人変人大集合の様相。あまりにも面白すぎます。主人公でなくともツッコミ
を入れたくなります。
中盤になると傍聴マニアたちと親しくなった主人公が、彼らと同じように他人
の人生を覗き見して楽しむようになります。ところが、それを美人鬼検事にズ
バリと指摘されてしまったことから、反省して傍聴をやめてしまいます。観客
も、ちょうど傍聴マニアに対して嫌悪感を持ち始める頃に、美人鬼検事のひと
言が飛び出す絶妙のタイミング。
しかし、その後、ドラマは意外な方向へ。主人公が傍聴マニアたちとともに、
放火事件の被告の冤罪を晴らすために奔走。傍聴で蓄積したノウハウをフル活
用して、地味な弁護士に派手なパフォーマンスを指南するなど、被告側をサ
ポートします。
後半は前半に比べて笑いはパワーダウンするものの、冤罪をめぐるユニークな
ドラマが展開されるので飽きることはありません。
ところが、その後の顛末にはビックリ。主人公たちの努力が報われて、被告は
無罪を勝ち取って……というパターンになるかと思いきや、意外にもあっけな
いまでの幕切れ。安易なハッピーエンドにしたくなかったのか、はたまた裁判
の難しさを問題提起したかったのか。作り手の意図はわかりませんが……。
それでも、なかなか面白い裁判ドラマでした。楽しく笑いながら、裁判所の意
外な面を知ることができます。「人が人を裁くことの難しさ」といったテーマ
性や問題提起を期待すると裏切られますが、エンターティメントとしては十分
に楽しめそうです。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（裁判をネタにした笑える楽しいエンターティメント映画。気楽に楽しめて興
味深い話が満載です。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年9月10日（金）京橋テアトル試写室にて
[「さ」のページ] |
|