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さくらん
（2007年 日本）（上映時間１時間51分）
監督：蜷川実花
出演：土屋アンナ、椎名桔平、成宮寛貴、木村佳乃、菅野美穂、永瀬正敏、美
波、山本浩司、遠藤憲一、石橋蓮司、夏木マリ、市川左團次、安藤政信
＊シネクイント、新宿ジョイシネマほかにて全国公開
ホームページ http://sakuran-themovie.com/
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＜ストーリー＞
江戸の遊郭、吉原。８歳で売られた女の子は、きよ葉と名付けられるが、何度
も脱走を試みて捕まる。やがて17歳となり、美しく成長したきよ葉（土屋アン
ナ）は、あっという間に江戸中の注目を集めるようになる。花魁・高尾（木村
佳乃）は、そんなきよ葉の人気に嫉妬を募らせるのだが……。
＜レビュー＞
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写真家らしい映像美が見事な異色の花魁物語
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人気漫画家・安野モヨコの同名コミックを、写真家・蜷川実花が映画化。主演
は『下妻物語』の土屋アンナ。
遊郭に売られた娘が、その美しさと鼻っ柱の強さから吉原一の花魁に成長する
までを描いた物語。花魁の話というと悲しい物語というイメージがありますが、
この映画はまったく違います。何度も脱走を試み、本気の恋も経験し、自分を
曲げずに突っ走る主人公は、まさに等身大の女の子。キラキラ輝いています。
監督が写真家ということで、映像がバツグンに美しい。赤や青といった原色を
生かした鮮烈な色彩、隅々まで計算された魅力的な構図、どのシーンも見事の
一語につきます。セットや衣装も実に凝っています。金魚やサクラといったア
イテムの出し方も巧みです。
入浴シーンで女の人のオッパイをアップで連写したシーンなんて、あれは普通
の人は考え付かないですよねぇ〜。エッチなシーンがイヤラシく見えないのも、
鮮やかな映像のおかげでしょう。
ただし、人間ドラマとしては上っ滑りのところが多くて深みに欠けます。前半
はまだマシなんですけどね。吉原に売られた主人公が「いつか脱出してや
る！」と反発するあたりとか、木村佳乃演じる先輩花魁との火花バチバチの対
決とか。初めてのマジな恋の顛末もまあまあそれなりに描けています。
後半になって、ついに花魁になった主人公が、自分を曲げずに好き勝手やるあ
たりも痛快で楽しい展開。
しかし、その後は物足りません。椎名桔平演じる武士との関係がきちんと描か
れていないし、安藤政信演じる店番の清次との関係に至ってはまったくダメ。
彼は、吉原に来た幼い主人公に、「吉原の桜の木に花が咲いたら、俺がここか
ら出してやる」となぐさめるわけです。まさに運命の人。しかし、その後の２
人の関係は中途半端にしか描かれません。あの結末になるのだったら、そこに
至るまでの主人公の彼に対する心の機微をちゃんと描かないと、とても納得で
きるものではありません。雰囲気だけで持っていこうとしても、それは無理で
しょう。蜷川監督、頑張ってはいるのですが、力及ばずという感じかな。
主演の土屋アンナは、『下妻物語』そのままのキャラクターで、強気に突っ走
る主人公を好演しています。演技が一本調子なので陰影には欠けますが……。
映像はとにかく見事。椎名林檎の音楽も効果的に使われています。これでもう
少し人間ドラマが胸に迫る出来だったら……。
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆（＋1／2★）
（映像は素晴らしいし、原作のファンはそれなりに楽しめそう。やはり男性よ
り、女性、それも若いコのほうが楽しめるかな。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2007年3月8日（木）シネ・リーブル池袋。午後2時5分の回
[「さ」のページ] |
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