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殺人犯（MURDERER）
（2009年 香港）（上映時間2時間1分）
監督：ロイ・チョウ
出演：アーロン・クオック、チャン・チュンニン、チョン・シウファイ、チェ
ン・クアンタイ、チン・カーロッ、ウォン・ヤウナム、ジョシー・ホー、タ
ム・チュンヤッ
＊6月5日（土）よりシネマート六本木ほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://www.murderer.jp/
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＜ストーリー＞
連続猟奇殺人事件を追う香港警察のレン警部（アーロン・クオック）は、通報
を受けて駆けつけたビルで何者かに襲われて気絶し、目覚めると襲われる以前
の数日間の記憶を失っていた。さらに、一緒にいた同僚は、血まみれで瀕死の
重傷を負って発見された。いったい何が起きたのか。レンは事件を追うが、自
分が犯人ではないかという状況証拠が次々に浮かび上がる。次第に混乱し、狂
気へ走っていくレンだったが……。
＜レビュー＞
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まさかそんな！！！ あまりにも衝撃的な香港発のサスペンス・スリラー
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アジア各地で賛否両論を巻き起こしたという、猟奇殺人事件をめぐるサスペン
ス・スリラーです。
オープニングはいきなり血まみれの男。体に電気ドリルで穴を開けられて失血
死させられるという猟奇殺人事件が起きて、それを追っていた警部が今度は新
たな被害者となったのです。警部は瀕死の重傷で意識不明に。しかも、死体が
発見されたビルの上階には、同僚のレン刑事が気絶していました。やがて目を
覚ましたレン刑事ですが、記憶障害によって数日間の記憶が欠落。何が起きた
のかは自分でもわかりません。
ショッキングなこのオープニングから、いかにもサスペンス・スリラーらしい
世界が続きます。ところが、やがて信じられないことが……。
その後、レン警部は記憶が戻らないままに捜査を再開。すると、自分が犯人で
はないかと疑わせる状況証拠が次々に浮上してきます。それにつれて、レン警
部はどんどん追いつめられて、狂気へ走っていきます。
途中からは、周到な仕掛けで事件の謎を積み上げていきます。電気ドリル、被
害者の背中に開けられた穴が描く模様、レン警部の子ども時代の写真、何者か
が彼に危険な薬を盛ったという事実。こうしたネタを通して、犯行がレン警部
によるものではないかという疑惑を膨らませます。
レン警部が追いつめられていく心理も的確に表現されます。「自分が犯人なの
では？」という疑問とそれを否定する心理の狭間を、フラッシュバックなどを
使った緊迫感漂う映像で表現。撮影はホウ・シャオシェン監督の映画や是枝裕
和監督の『空気人形』などで知られるリー・ピンビンです。
なかなか面白いサスペンス・スリラーです。ただし、たくさんのネタを詰め込
みすぎて消化不良の感じも。もう少し全体を練り上げてもよかったのでは？
などと思っていたらアッとビックリ！ 驚愕の事実が明らかになって、すべて
が吹っ飛びます。事件の真相はあまりにも予想外。こんな展開は見たことがあ
りません。真犯人がまさかアイツだとは！！！
詳細はネタバレになるので伏せますが、「そんなのアリ？」と思うような展開。
しかし、ここまでやられると、あきれるのを通り越して感心してしまいます。
事件の構図が明らかになった後も、『セブン』を思わせるおぞましい展開で、
主人公のレン警部の狂気を最高潮まで持っていきます。そして、含みのあるラ
ストへ。
レン警部役のアーロン・クロックの鬼気迫る演技が壮絶。同時に、それに並ぶ
名演ぶりを発揮した人物がいるのですが、それが誰なのかを言うと犯人がわか
ってしまうので内緒です。
ショッキングといえば、これほどショッキングな映画は珍しいのでは？ とに
かくビックリでした。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆（＋1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（ビックリ度は★★★★★。途中まではごく普通のサスペンス・スリラー。し
かし、事件の真相が明らかになると衝撃が！！！）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年3月29日（月）マスコミ試写（京橋テアトル試写室）にて。
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