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シェルター（SHELTER）
（2009年 アメリカ）（上映時間1時間52分）
監督：モンス・モーリンド、ビョルン・スタイン
出演：ジュリアン・ムーア、ジョナサン・リース・マイヤーズ、ジェフリー・
デマン、フランセス・コンロイ、ネイト・コードリー、ブルックリン・プルー
＊新宿バルト9ほかにて全国公開
ホームページ http://www.shelter-movie.jp/
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＜ストーリー＞
解離性同一性障害（多重人格）を否定する精神分析医のカーラ（ジュリアン・
ムーア）は、ある日、同じ精神分析医の父から、デヴィッド（ジョナサン・
リース・マイヤーズ）という患者の診察を依頼される。診察を始めると、デヴ
ィッドには別人格が現れるが、最初のうちカーラはそれを信じない。だが、調
査するうちに説明のつかない事実が次々に浮上し、カーラの確信は揺らぎ始め
るのだが……。
＜レビュー＞
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サイコ・サスペンスからオカルトへの転化。力技で観客を引き込む
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ジャンル分けすれば、サスペンス・スリラーということになるのでしょうか。
何だか不思議な映画です。よくわからないうちに、力技でスクリーンに引きず
り込まれてしまいました……。
精神分析医の主人公が、解離性同一性障害の疑いのある男の診察を依頼され、
いろいろと調べるうちに昔のおぞましい事件にぶち当たるというお話。
前半は主人公の精神分析医と患者の男との対決を軸としたサイコ・スリラー風
の展開。ジュリアン・ムーアとジョナサン・リース・マイヤーズという２人の
実力派俳優による迫真の演技が見応え十分です。
しかし、途中からはオカルトチックな展開へ。患者に現れるいくつかの人格を
通して、過去のある事件が浮上。山奥の不気味な女祈祷師（？）をはじめ見る
からに不気味な人物なども登場して、「魂」や「信仰」をめぐる怪しげな話へ
と突入します。
オドロオドロしさはかなりのもの。ただし、あまりにも非現実的な世界なので、
普通なら「何じゃそりゃ？」とあきれたりするものですが、そうはなりません
でした。何しろ次々にいろいろなことを仕掛けて、観客に余計なことを考えさ
せるヒマを与えません。あとで冷静になって考えると、不自然なことやわから
ないことだらけ。でも、途中ではそれを意識させません。
ジュリアン・ムーアとジョナサン・リース・マイヤーズの演技も、後半に行け
ば行くほど壮絶さが加速していきます。
オープニングからラストまで全体を包むゾクゾクするような不気味な雰囲気も、
この映画の大きな魅力。映像も細部までこだわって、独特の異様な緊迫感を生
み出しています。
クライマックスは主人公の娘が危機を迎えます。主人公の母としての執念がド
ラマを盛り上げます。そして、ラストは一度は安易なハッピーエンドと思わせ
ておいて、最後の一瞬でそれをひっくり返す驚きの結末。余韻の残るエンディ
ングで、余計に怖さが感じられます。
この映画を監督したのは２人のスウェーデン人。何が何でも観客を楽しませて、
ハリウッドで確かな足場を築きたいという強い意欲が感じられました。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（独特の不気味さに彩られた映画。次々にいろいろと仕掛けて、力技でスク
リーンに引きずり込みます。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年3月27日（土）シネマ・ロサにて。午後4時30分の回
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