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少年メリケンサック
（2008年 日本）（上映時間2時間5分）
監督・脚本：宮藤官九郎
出演：宮崎あおい、佐藤浩市、木村祐一、田口トモロヲ、三宅弘城、勝地涼、
ユースケ・サンタマリア、ピエール瀧、田辺誠一、哀川翔、烏丸せつこ、中村
敦夫、峯田和伸、佐賀智仁、波岡一喜、石田法嗣、犬塚弘、遠藤ミチロウ、日
影晃、仲野茂
＊丸の内TOEI1ほかにて全国公開
ホームページ http://www.meriken-movie.jp/
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＜ストーリー＞
レコード会社で新人発掘を担当する栗田かんな（宮崎あおい）は、ネット上で
パンクバンド「少年メリケンサック」のライブ動画を偶然見つける。社長に言
われてメジャーデビューの話を持ちかけようとするが、彼女の前に現われたの
は50歳を過ぎたヨレヨレのおっさんだった。ネットの動画は25年前に撮影され
たものだったのだ。それでも、かんなは「少年メリケンサック」を引き連れて
全国ツアーに出るのだが……。
＜レビュー＞
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パンク野郎は永遠だぜ！ クドカン快心の暴走しまくりパンク・ムービー
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ロックは反逆だ。だから、「とりあえず暴れてみる」パンクは、ロックの初期
衝動を純化したものに違いない……。てなことを、昔からずーっと考えている
私なのだった。
そんなパンク好きな私も、パンクなんか知らないみなさんも、み〜んな楽しめ
るのがこの映画。クドカンこと宮藤官九郎が監督・脚本を担当したパンク魂満
載のコメディ。
レコード会社の新人発掘係の主人公が、ネットの動画でパンクバンド「少年メ
リケンサック」を発見。社長の指示で契約交渉に臨むものの、現れたのは50歳
のオッサン。なんと動画は25年前の映像。それでも、ネットで人気が急上昇し
たため、全国ツアーに出ることに……。
この素材で映画を撮るんなら、もっとリアルなドラマにするのが普通でしょう。
主人公の女の子の成長物語と、オッサンたちの再生ストーリーを前面に出して。
しかし、そこはクドカンです。全編が爆笑のコメディ。しかも、パンクバンド
をめぐる物語らしくアナーキーに暴走しています。
魅力的なのがキャラクター設定。パンクなんて大嫌いながけっぷちＯＬの主人
公、４人のバンドメンバーたちをはじめ、脇役のひとりひとりまで、みんなキ
ャラが立っています。ピエール瀧演じる昔のマネージャー、田辺誠一演じるビ
ジュアル系歌手などヘンな人がウジャウジャ。
いろんな小ネタで笑わせるのもクドカンらしいところ。くだらないけれど笑っ
ちゃう楽しいネタがタップリ。パンク好きでないとわからない、ディープなパ
ンクネタも楽しいですねぇ。
「スターリン」の遠藤ミチロウが居酒屋のオヤジ、「アナーキー」の仲野茂が
警官、「ザ・スタークラブ」のＨＩＫＡＧＥが花屋など、伝説のパンクバンド
の人たちがチラッと出てくるのも心憎い仕掛け。
リアリティーなんてまったくナシ。「そんなことありえねぇ〜！」の連発。後
半ではアニメまで登場させるハチャメチャぶり。映画としての完成度はかなり
低いけれど、ここまでやられるともはや心地よいです。なんたってパンクです
もの。
中盤以降は「少年メリケンサック」の全国ツアー。犬猿の中のアキオ（自称
「高円寺のシド・ビシャス」）とハルオの兄弟、半身不随のジミー、痔の手術
間もないヤングと、かんなによる珍道中が展開されます。
ロードムービーの定番で、５人それぞれに変化が訪れるものの、けっしてあり
がちな成長物語にはなりません。ただひたすら熱い衝動に突き動かされて走り
続ける中年パンク野郎＋ブス（アキオ談）１人。
クドカンの前作、監督デビュー作の『真夜中の弥次さん喜多さん』は、「面白
いけどだからどうしたのさ」てな空疎な映画だったのですが、今回は、熱い男
たちの暴走と風変わりな女の子の奮闘を通して、それなりに伝わってくるもの
がありました。爽快感タップリの映画です。
やっぱりパンク野郎は永遠なのよ。いくつになっても、パンク魂を忘れたらい
かんのよ。そうすりゃ、世の中、もっと楽しくなるって！
宮崎あおいのハジケッぷりがアッパレです。４人のバンドメンバーもみんな個
性的。見慣れた佐藤浩市まで、なんだかいつもと違って見えるから不思議なも
の。ちなみにボーカルのジミー役の田口トモロヲは、もともとパンクバンド
「ばちかぶり」のボーカリスト。ホンモノのパンク野郎ですからね。
しかし、「ニューヨーク・マラソン」の本当の歌詞はそれでしたか。そりゃ放
送できないわねえ。はたして、どんな歌詞だったのか。みなさんぜひ自分で確
かめてみてください。
《ぽちの満足度》
★★★★☆
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）
（痛快な爆笑コメディ。アナーキーな暴走ぶりがひたすら心地よいデス。パン
クを知らなくても楽しめます。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2009年2月14日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時15分の回
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