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主人公は僕だった（STRANGER THAN FICTION）
（2006年 アメリカ）（上映時間１時間52分）
監督：マーク・フォースター
出演：ウィル・フェレル、エマ・トンプソン、ダスティン・ホフマン、クイー
ン・ラティファ、マギー・ギレンホール
＊みゆき座ほか東宝系にて全国公開
http://www.sonypictures.jp/movies/strangerthanfiction/
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＜ストーリー＞
国税庁の会計検査官ハロルド・クリック（ウィル・フェレル）は、規則正しく
単調な毎日を送っていた。ところがある朝、彼の頭にナレーションのような女
性の声が聞こえる。ヒルバート教授（ダスティン・ホフマン）の協力を得たハ
ロルドは、それが小説家によって執筆されている物語だと知る。その小説家の
作品は、結末で必ず主人公が死ぬのだが……。
＜レビュー＞
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平凡男の生き直しの物語。ユニークな脚本とセンスの良い演出が見もの
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毎日決まりきった生活を送る平凡な男が、あるきっかけで変わっていくという
お話。それ自体はよくある物語だけど、ユニークなのがそのきっかけ。なんと、
自分が知らないうちに小説の主人公になっていたのです！
主人公は国税庁の会計検査官ハロルド・クリック。几帳面で毎日の歯磨きのブ
ラッシングの回数まで決めている。仕事場ではめっぽう数字に強いが、過去の
失恋で恋に対しては臆病。そんな彼が、ある日、ナレーションのような声を耳
にする……。
というわけで、観客にとって、最初は普通のナレーションだと思っていた声が、
実はハロルドの頭の中で鳴り響く声だということが判明します。思わずビック
リの仕掛けです。
自分の行動を的確に描写していくその声から、「どこかで自分を主人公にした
小説が書かれているのでは？」と疑い始めるハロルド。そして、ある日、"この
ささいな行為が死を招こうとは、彼は知るよしもなかった"という恐ろしいフ
レーズを聞いてしまう。焦ったハロルドは、大学教授のヒルバートに相談して、
誰が自分を主人公にした小説の書き手なのかを探る……。
そんなことになったら、ハロルドならずとも焦ってしまいますよねぇ〜。ズバ
ズバと自分の行動が言い当てられている時に、「死を招こうとは〜」なんて言
われてしまうのですから。
実は、そんなハロルドの姿と同時に、小説の書き手である女性作家のカレン・
アイフルの言動も並行して描かれるので、意外に早いうちに物語の全体像はほ
ぼ見えてしまいます。しかし、それでも最後まで飽きずに観ていられました。
ナレーション＝小説とハロルドの実際の行動が、コミカルで楽しい空気を生み
出しています。恋に臆病なハロルドと、彼の前に現れたラジカルでワイルドな
女性アナ・パスカル（デカいタトゥー入り）という対照的な２人の恋物語も、
ほほえましくて笑えます。
映像的にも、記号や文字などでスクリーンを覆ったりして、知的でオシャレな
雰囲気を生み出しています。
ハロルドが愛用する腕時計や、アナが焼くクッキーといったアイテムも効果的
に使われています。セリフもとても良くできていますね。
ユニークすぎるザック・ヘルムのオリジナル脚本と、『チョコレート』『ネ
バーランド』のマーク・フォースター監督のセンスの良い演出がピタリと決ま
った作品だと思います。 まあ、あまりにもセンスが良すぎて、やや鼻につく
ところもないではないのですが……。
主人公のウィル・フェレルの無表情な演技がいい味を出しています。それとは
対照的なキレた感じのマギー・ギレンホール。そして、ワキを固めるダスティ
ン・ホフマン、エマ・トンプソンがさすがの演技なんですよねぇ〜。エマのボ
ロボロの雰囲気が特に見事。
ラストは予想通りのオチとはいえ、ハロルドが悲劇を喜劇に変えるべく奮闘し
てきたことを考えれば納得の結末。
考えてみたら、ハロルドは物語の間中、作家の意図どおりに動いているわけで
す。しかし、最後の最後で、自分の力で逆に作家を動かします。つまり、この
映画は、流れに身を任せて味気ない毎日を送ってきた男の生き直しの物語なの
です。
機械みたいな人生なんかやめて、人間らしく生きようよ。そんな温かなメッ
セージが伝わってきました。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（ユニークなアイデアが光るセンスの良いコメディ。知的な笑いと温かなメッ
セージを感じたい方はどうぞ。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2007年5月20日（日）池袋ＨＵＭＡＸシネマズ４にて。午後4時の回
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