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ソラニン
（2010年 日本）（上映時間2時間6分）
監督：三木孝浩
出演：宮崎あおい、高良健吾、桐谷健太、近藤洋一、伊藤歩、ARATA、永山絢斗、
岩田さゆり、美保純、財津和夫
＊新宿ピカデリー、シネクイントほかにて全国公開
ホームページ http://solanin-movie.jp/
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＜ストーリー＞
OL2年目の芽衣子（宮崎あおい）は、大学時代に軽音サークルで知り合ったフ
リーターの種田（高良健吾）と同棲中。ある日、芽衣子は突然会社を辞めてし
まう。一方、種田はサークル時代の仲間とバンド活動を続けるものの中途半端
な毎日。しかし、バイトを辞めて本格的に音楽活動を始め録音したCDをレコー
ド会社に送るのだが……。
＜レビュー＞
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閉塞感の中の若者たち。悲劇から立ち直る女の子の再生の物語
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現状に不満を持ちながら、どうすることもできずに悩む男女のカップル。それ
でもかすかな希望を見出した途端に起きる悲劇。そこから女性が立ち直るまで
を描いた青春恋愛物語。
前半に描かれるのはカップルそれぞれの苦悩の日々。OL2年目の芽衣子は、一緒
に暮らす種田の後押しで会社を退社。一方、種田はバイト生活を続けながら、
学生時代の延長線上でバンド活動を惰性で続ける日々。
最初は観ていてイラついてしまいました。種田ときたら、芽衣子に会社を辞め
るように勧めたくせに、実際に辞められたらビビるだけ。しかも、中途半端な
バンド活動を続けながらウジウジしているばかり。「もっとシャンとしろ！」
と叫びたくなってしまったのでした。
しかし、実はこれには伏線があって、かつて種田は「音楽で世界を変える！」
的な熱い男だったのです。
やがて種田はついに勝負に出ます。バイトを辞めてレコーディングに専念し、
デモCDを完成させてレコード会社等にアピール。それでチャンスをつかめなけ
ればバンドを解散することを決意したのです。
しかし、結局それもうまくいかず、芽衣子に別れを切り出す種田。ところがそ
の後に悲劇が起こります。そこから先は、心に大きな傷を負った芽衣子が再生
するまでが描かれます。
詳しい話をするとネタバレになるので避けますが、芽衣子は種田のギターを持
ち種田の曲を歌います。クライマックスのライブシーンは圧巻。素直に感動で
きました。芽衣子の再生のドラマに納得。彼女がなぜ経験もないギターを持っ
て歌うのかが、よく理解できる描き方です。
賛否両論ある宮崎あおいの歌とギターですが、予想していたよりも悪くありま
せん。だいたい設定からいって、あそこでプロも真っ青の演奏を披露されたら
ウソくさすぎます。
青春恋愛映画としては、けっこうよくできた映画だと思います。主役に宮崎あ
おいを起用したのが大正解。繊細な感情を表現する演技は相変わらず見事。彼
女の独白も効果的。
これが初監督作品という三木孝浩監督ですが、繊細な心理描写が印象的。ああ
いう年代の若者の心理の揺れ動きをきちんと表現していました。
しかし、どうにも居心地が悪かったのが若者たちの覇気のなさ。現状に不満を
感じたり、閉塞感を持つのはどの時代の若者にも共通のこと。ところが、それ
を突破する力も大人たちや社会に反抗する気力も感じられません。特に種田の
言動にはイライラが募るばかり。レコード会社からのアイドルのバックバンド
の話を断るのも、種田じゃなくて芽衣子ちゃんだもの。ダメでしょ、それじゃ。
キミが「バカヤロー！」って席を蹴らなくちゃ！ な〜んて思ってしまったの
でした。
まあそういうところも含めて、いまどきの若い子の心情をよく捉えているのか
もしれません。きっと、同世代の人たちは共感できるのでしょう。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（青春恋愛映画としてはなかなかのもの。繊細な心理描写も見事。今の20代を
的確に捉えた映画。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年4月16日（金）新宿ピカデリーにて。午後1時50分の回
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