スタンドアップ(NORTH COUNTRY)
| （2005年 アメリカ）（上映時間２時間２分） 監督：ニキ・カーロ 出演：シャーリーズ・セロン、エル・ピーターソン、トーマス・カーティス、 フランシス・マクドーマンド、ショーン・ビーン、ウディ・ハレルソン、ジェ レミー・レナー、リチャード・ジェンキンズ、シシー・スペイセク ＊ サロンパスルーブル丸の内ほかにて全国公開 ホームページ http://wwws.warnerbros.co.jp/standup/ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ＜ストーリー＞ 夫の暴力から逃れて、２人の子供を連れて故郷北ミネソタに戻ってきたジョー ジー・エイムズ（シャーリーズ・セロン）。生活のため、地元の鉄鉱山に就職 するが、そこは圧倒的な男性優位社会。数少ない女性労働者たちは露骨なセク ハラにあうが、誰も抗議できない。ジョージーは上層部に抗議するが、その結 果、事態はさらに悪化する。それでも、ジョージーは法廷で闘うことを決意す るのだった……。 ＜レビュー＞ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 人間ドラマの視点で描いた勇気ある１人の女性のセクハラとの闘い 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 いやぁ〜、これは良い映画ですねぇ〜。観ないと損するぜひオススメの映画で すヨ。＼（＾▽＾）／ アメリカでセクシャル・ハラスメント法の制定に大きく貢献した裁判を闘い抜 いた女性の物語。 暴力夫から逃れて、２人の子供とともに実家に戻った主人公のジョージー。生 活のために友人の誘いで鉱山で働くことにする。だが、そこは完全な男社会。 会社も労働組合も本当は女なんか排除したいのに、裁判の判例があって嫌々雇 っている。おかげで、女性に対してセクハラの嵐、嵐、嵐。そんな中、ついに 立ち上がる主人公……。 な〜んていうと、おカタイ社会派映画を連想するかもしれませんが、けっして そうではありません。１人の女性の人間ドラマとしても見応えタップリ。欠点 だらけの弱い人間である主人公を中心に、周囲の様々な人たちのドラマをキッ チリと描いています。 主人公役のシャーリーズ・セロンがいいですねぇ〜。『モンスター』で殺人鬼 に扮した彼女が、今度はススだらけになって鉱山働者を熱演。体当たりの演技 とかいう次元じゃなくて、セリフ以外のところで心情を的確に表現する演技が 光ります。完全に演技派女優になりましたねぇ〜。 全体の構成は現在進行形の裁判という枠の中で、そこに至るまでにどんなこと があったかを回想の形で明らかにしていきます。 異常としか思えないセクハラを続ける男たち、それに逆らえない女性たち。そ して、父親までもが主人公を非難する。たまりかねて上層部に抗議すれば、さ らに嫌がらせがエスカレートする。 『クジラの島の少女』のニキ・カーロ監督による抑制された演出が印象的。セ リフに頼らずに、登場人物の内面をジワジワとあぶり出していきます。主人公 はもちろん、２人の子供たち、保守的な父親とそれに従う母親、数少ない理解 者の旧友、主人公を支援する弁護士など、すべての人物のキャラがきちんと描 かれています。 たとえば、ウディ・ハレルソン演じる弁護士が、酒場でジョージーを誘おうか どうしようか迷うシーンがあって、この描写なんかスッゴク巧みなんだなぁ〜。 でもって、淡々とした演出が、かえって観客のセクハラに対する怒り、主人公 への同情をかき立てていきます。それがフツフツと煮えたぎり、後半になって 一気に爆発します。 後半は、裁判が中心。緊迫の法廷劇が展開されます。このあたりから、やや駆 け足だったり、ご都合主義のところも見られるものの、盛り上がりは十分でそ れほど気になりませんでした。何よりも勇気を持つことの大切さがヒシヒシと 胸に迫ってきます。 ラストは予定調和なれど、思わず拍手したくなる胸のすく結末。 （＊゜▽゜ノノ゛☆パチパチ この映画は、セクハラをめぐる社会派の映画であると同時に、夫の暴力から逃 れた女性がセクハラに立ち向かう中で成長する人間ドラマでもあるのです。 シャーリーズ・セロン以外の配役も素晴らしいッ！ 難病になった友人役のフランシス・マクドーマンドは特に印象的。その夫役の ショーン・ビーン、主人公の父親役のリチャード・ジェンキンズ、母親役のシ シー・スペイセク、弁護士のウディ・ハレルソンと、どれも存在感にあふれた 演技です。 要所で流れるボブ・ディランの音楽もいいですねぇ〜。 それにしても、たった十数年前に、こんなひどいセクハラがあったというのは 驚き。主人公の勇気がなければ……と思うとゾッとします。 《ぽちのオススメ度》 ★★★★☆ （後半やや雑なところはあるけれど、それ以外は文句ナシに素晴らしい映画。 人間ドラマが好きなアナタなら観ておいて損はないはず。） ＜ぽち＞ 〔鑑賞データ〕 2006年１月14日（土）池袋東急にて。午後１時20分の回。 |