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スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ
（2007年 日本）（上映時間2時間1分）
監督：三池崇史
出演：伊藤英明、佐藤浩市、伊勢谷友介、桃井かおり、香川照之、石橋貴明、
安藤政信、木村佳乃、松重豊、塩見三省、石橋蓮司、堺雅人、小栗旬、クエン
ティン・タランティーノ、香取慎吾
＊丸の内TOEI2、渋谷東急ほか松竹・東急系にて全国公開
ホームページ http://www.sonypictures.jp/movies/sukiyakiwesterndjango/
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＜ストーリー＞
壇ノ浦の戦いから数百年後。山間の寒村では、源氏、平家の末裔が埋蔵金を巡
って、村人を巻き込む激しい抗争を繰り広げていた。そんなある日、一人の凄
腕ガンマンが村にやってくる。源平両軍は、この流れ者を用心棒に引き入れよ
うと必死になるのだが……。
＜レビュー＞
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無国籍のごった煮ウエスタン。楽しいのは間違いナシ
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西部劇をイタリアに持っていったのがマカロニウエスタン。それを和風に味付
けをしたのが三池崇史監督のこの作品。題して「スキヤキ・ウエスタン」。と
いうより、これはもはや無国籍のごった煮ですね。
お宝目当てにやってきた無法者たち。二手に分かれて抗争を展開し、村人を苦
しめる。そこに現れたのが一人の無敵のガンマン……。
というように、物語の枠組みも登場人物のキャラクターもマカロニウエスタン
そのもの。ただし、舞台が日本で、抗争する両軍が源氏と平家というのがユ
ニークなところ。
とにかく、すべてにおいてサービス満点です。三池監督お得意のアクション
シーンはＣＧ全開で迫力満点。銃弾バリバリ、日本刀バッサリ、炎メラメラ、
爆発ドッカン。ありとあらゆる手を使って観客を楽しませようとします。独特
の味わいを持つ映像に加え、衣装やセットなども凝っています。
夫婦や親子の情、激しい憎悪といった人間ドラマもそれなりに描かれています。
もちろん深みなどは、まったくありませんが。
ユーモアもタップリです。平家のボス平清盛がシェークスピアに感化されて、
「これからはヘンリーと呼べ！」と言ったり、タマをなくした弁慶がナヨナヨ
と義経に迫るなど、爆笑もののシーンも飛び出します。
豪華なキャストによるハジケた演技も楽しいところ。特に悪役を嬉々として演
じる佐藤浩市、情けな〜い保安官役の香川照之が印象的。ドロだらけで転げま
わったり、セクシーダンスを披露する木村佳乃の体当たりの演技も見ものです。
さらに、マカロニウエスタン好きにはたまらないのが、名作『続・荒野の用心
棒』に登場した十字架、棺桶、ガトリン銃といったアイテムが出てくるところ。
何しろタイトルにある「ジャンゴ」とは、『続・荒野の用心棒』の用心棒の名
前。実に憎い仕掛けです。
まあ、しかし、あまりにサービスが過剰すぎて、筆者はついていけず。和風に
もかかわらず、脂っこい料理ばかり食べさせられているようで胸焼けが……。
ストーリー展開も陳腐です。両軍が巧妙な策略をめぐらすなどしたら、もっと
おもしろかったと思うのですが。伊藤英明演じるガンマンが、途中まで何もし
ないのもつまらないですね。登場人物みんなに見せ場があるせいで、散漫でち
っともノッていけません。
だいたい、つくり手は、この映画で何をしたかったの？ 全編英語だから、世
界に通用する本格エンタメを目指したのかと思えば、そうでもないみたい。結
局のところ、酒を飲みながら「こんなのおもしろそうじゃん」と出た安易な企
画を、お金をかけまくって映画にした感じ。それって、どうなのよ？？？
それでも、後半は前半よりも楽しめました。桃井かおり演じるオバアサンの正
体が判明して、話が転がり出すんです。タランティーノ演じる早撃ち男とのや
り取りも笑えます。
バカを大マジメに、大金を投じてつくった映画だけに、楽しいのは間違いナシ。
でも、それだけの映画です。それ以上は期待しないこと。
《ぽちの満足度》
★★☆☆☆
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆（＋1／2★）
（志もなければ中身も空っぽなれど、楽しいのは間違いナシ。ハチャメチャな
映画が好きな方はどうぞ。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2007年9月27日（木）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時45分の回。
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