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スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
（SWEENEY TODD：THEDEMON BARBER OF FLEET STREET）
（2007年 アメリカ）（上映時間1時間57分）
監督：ティム・バートン
出演：ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム＝カーター、アラン・リックマン、
ティモシー・スポール、サシャ・バロン・コーエン、エドワード・サンダース
＊丸の内ピカデリー1ほかにて全国公開
ホームページ http://wwws.warnerbros.co.jp/sweeneytodd/
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＜ストーリー＞
19世紀末のロンドン。フリート街の理髪師ベンジャミン・バーカー（ジョ
ニー・デップ）は、妻に横恋慕したターピン判事（アラン・リックマン）によ
って無実の罪で流刑にされてしまう。やがて15年ぶりにロンドンへと戻ってき
た彼は、パイ屋の女主人ラベット（ヘレナ・ボナム＝カーター）から、妻が追
いつめられた末に自殺し、娘は幽閉されていると知らされる。怒りに燃えた彼
はスウィーニー・トッドと名を変え、復讐を開始するのだが……。
＜レビュー＞
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スプラッター・ホラーを独特の世界観で染め上げたティム・バートン
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悪趣味な話だなぁ〜（笑）。
かつて無実の罪に陥れられ、妻を自殺に追い込まれ、娘を奪われたロンドンの
理髪師が、名前を変えて悪徳判事に復讐するというストーリーのミュージカル
映画。オリジナルはトニー賞受賞の同名舞台劇で、日本でも有名俳優の出演で
何度か上演されています。
というわけで、全体の枠組みは復讐劇なのですが、途中からはとんでもない方
向に話が進みます。主人公と彼を愛するパイ屋の女主人が無差別殺人へと突入。
しかも、その人肉でパイを作って売るというオゾマシイ展開。
ボクの記憶が正しければ、もとをたどれば「そういうコワ〜イ理髪師がいるの
だヨ」という都市伝説が物語の原点になっているはず。したがって、血みどろ
のホラーになるのは仕方ないところですが、それにしても何人の首が斬られ、
どれだけの血が流されたことやら。しかも、人肉パイをうまそうに食べる人々
の姿まで……。オエー！
ミュージカル映画といえば、何となく楽しいイメージがありますが、とてもそ
んな内容の映画ではありません。もはやこれ完全なるスプラッター・ホラー。
しかし、それほど凄惨には見えないから不思議なもの。なにせティム・バート
ン監督による映像が妖しく、美しすぎるのです。
19世紀ロンドンのダークで乾いた雰囲気、それとは対照的な過去の思い出の
シーンのカラフルなタッチなど見事な映像の連続です。血みどろのシーンまで、
この映像の魔力によって哀愁漂う美しいシーンになってしまいます。あちらこ
ちらにブラックなユーモアも散りばめられています。この独特の世界観はティ
ム・バートンならではのものでしょう。
バートン監督とは今回が６度目のコンビとなるジョニー・デップは、やはりこ
ういう影のある役が似合います。歌もまずまずで、難曲と評判のソンドハイム
の曲を、それなりにちゃんと歌いこなしています。けっして巧くはないのです
が、感情表現が豊かです。これは他の役者にも共通しています。
意外なところでは、『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ
文化学習』で製作・原案・脚本・主演などを務めたコメディアンのサシャ・バ
ロン・コーエンが、インチキ理髪師の役で出ているのが笑えました。
ラストもまた血がドクドクと流れ落ちるシーン。しかし、その血が涙に転化し
て、主人公と妻とのあまりに哀しい愛の結末を情緒タップリに盛り上げます。
おぞましいけれど、哀しくて、美しくてたまらないシーンです。
良くも悪くも、バートン色に染め上げられたミュージカル。こんな映画が作れ
るのは彼しかいないはず。異能の持ち主であることを再確認させられる映画で
す。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆（＋1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（美しい映像と独特の世界観はバートン監督のファンでなくとも一見の価値ア
リ。ただし、いくら美しくてもエグいのは確かなので、それに耐えられない方
はやめておきましょう。）
（ぽち）
〔鑑賞データ〕
2008年1月19日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時の回。
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