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誰がため（FLAMMEN & CITRONEN）
（2008年 デンマーク・チェコ・ドイツ）（上映時間2時間16分）
監督：オーレ・クリスチャン・マッセン
出演：トゥーレ・リントハート、マッツ・ミケルセン、クリスチャン・ベルケ
ル、ハンス・ジシュラー、ピーター・ミュウギン、ミレ・ホフマイーヤ・リー
フェルト
＊シネマライズほかにて公開。順次全国公開
ホームページ http://www.alcine-terran.com/tagatame/
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＜ストーリー＞
1944年、ナチス・ドイツ占領下のデンマーク。地下抵抗組織のメンバーのフラ
メン（トゥーレ・リントハート）とシトロン（マッツ・ミケルセン）は、上層
部からの指示によって、ナチスに協力する者たちを次々に暗殺していった。だ
が、やがて２人は自分たちが狙う相手が本当に裏切り者なのか、疑心暗鬼にな
り始めて……。
＜レビュー＞
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反ナチスの地下組織の男たちを描いた緊迫のサスペンスと人間ドラマ
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日本ではあまり公開されないデンマーク映画（チェコ・ドイツと合作）です。
デンマーク国内で大ヒットし、数々の賞を受賞したそうです。
ナチス支配下のデンマークで、反ナチの地下組織に身を投じ、上層部の命令で
次々にナチス協力者を殺害した２人の男の実話をもとにしたドラマです。なん
でもデンマークのレジスタンスは、本国でもずっとタブーにされてきたとか。
主人公がナチスに抵抗した男たちということで、ヒーロー物語かと思いがちで
すがそうではありません。ナチス問題を取り上げた社会派の映画でもありませ
ん。ナチスＶＳ反ナチスという対立軸の中で、翻弄され、悩み苦しむ男たちの
サスペンス＆人間ドラマなのです。
映画は主人公の１人、若いフラメンの独白から始まります。最初から重苦しく、
異様な緊張感が漂います。それはまったく途切れることなく最後までずっと続
きます。
年上のシトロンとともに、地下組織のメンバーとして上層部の命令のままに、
ナチス協力者を暗殺していくフラメン。ところが、次第に自分が暗殺している
のが、本当にナチスの協力者なのかどうか疑問を持つようになります。また、
シトロンは家族を犠牲にして活動を続けていることから、自分の生き方に悩み
始めます。
フラメンの前に現れるナゾの女を軸として、いったい誰が敵で誰が味方なのか
まったく真実が見えないスリリングな展開は、サスペンスとして一級品です。
主人公に指示を出すボスなどの怪しすぎる人物や、軍関係者なども入り乱れて
混乱がどんどん増していきます。暗殺シーン、銃撃戦などのアクションシーン
も緊張感に満ちています。
そして、そんな状況に翻弄され、悩み、苦しみ、裏切られ、追い詰められてい
く２人の男たちの心理がリアルに描き出される人間ドラマも秀逸。特にアップ
を多用して、彼らの細かな表情をとらえ、その微妙な心の揺れ動きを的確に描
写しています。フラメンがこうした活動に身を投じた背景や、シトロンと家族
との関係など、彼らの生き方につながる部分もきちんと描かれています。
フラメンを演じるのは『天使と悪魔』にも出演したトゥーレ・リントハート。
若さの持つ繊細さと攻撃性を巧みに表現。一方のシトロン役は『007／カジノ・
ロワイヤル』にも出演したマッツ・ミケルセン。哀愁を感じさせる演技はなか
なかのもの。どちらも存在感十分です。
苦くて、哀切漂うラストも見事。いわゆる「ナチスもの」という枠を越えて、
サスペンスとしても人間ドラマとしても見応えがあります。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆（＋1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）
（異様な緊張感が漂うサスペンス。「ナチスもの」という先入観を持たないで
観るほうがいいでしょう。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2009年12月20日（日）シネマライズにて。午後1時20分の回
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