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台北に舞う雪（SNOWFALL IN TAIPEI／台北飄雪）
（2009年 中国・日本・香港・台湾）（上映時1時間43分）
監督：フォ・ジェンチイ
出演 チェン・ボーリン、トン・ヤオ、トニー・ヤン、モー・ズーイー、ジャネ
ル・ツァイ、 テレサ・チー
＊シネスイッチ銀座ほかにて公開
ホームページ http://taipei-snow.jp/
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＜ストーリー＞
台湾北部の小さな町に暮らす青年モウ（チェン・ボーリン）は、町の人々の雑
用をこなす毎日を送っていた。そんなある日、彼の前にメイ（トン・ヤオ）と
いう若い女性が現われる。新人歌手だった彼女は、突然声が出なくなり、台北
から失踪してきたのだった。モウはメイを親身になって世話し、彼女は少しず
つ回復していった。２人はお互いに好意を持つようになるのだが……。
＜レビュー＞
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純朴な青年と失意の新人女性歌手の交流。切なさが心にしみます
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私も大好きな映画『山の郵便配達』のフォ・ジェンチイ監督の新作。『山の郵
便配達』は父と子が山道を郵便配達するだけの物語。それなのに、心にじんわ
りくる見事な作品に仕上がっていました。
今回の作品もそれほど凝ったストーリーではありません。声が出なくなって失
踪した新人歌手のメイが、台北郊外の町にやってきて、モウという青年と知り
合います。モウはメイを親身になって世話します。そのおかげでメイは少しず
つ元気になっていきます。２人はどんどん親密になっていくのですが、メイを
捜索する記者が町にやってきます。それをきっかけにやがて２人に転機が訪れ
ます……。
というように、ありがちな話です。ヒネリもありません。台北から逃げてきた
メイが、周囲の人々に対して最初から身分を明かしてしまうなんて、そんなの
アリ？？？
しかし、それでも心を揺さぶられてしまうのです。
何といっても映像が魅力。詩情豊かで美しい映像が、登場人物の心情をみずみ
ずしく映し出します。特に町のちょっとした風景などが、心にしみます。しか
も、後半に行けば行くほどそうした映像美が冴え渡ります。中国人のジェンチ
イ監督にとって台湾を舞台にした映画はおそらく初めての経験でしょうが、ロ
ケ場所の選定も含めて本当によくできた映像です。
メイとモウのほほえましい交流が描かれる前半から中盤。その背景にあるのは"
失踪"というキーワード。都会から失踪してきたメイと母に失踪されたモウ。去
った者と去られた者が心を通い合わせます。
モウの温かい心遣いに包まれて、少しずつ回復していくメイ。そんな２人の交
流と並行してメイを追う記者やプロデューサー、アシスタントなどの姿が描か
れます。
そして後半にはもう1つの失踪……ではないけれど、去る者と去られる者の心情
が描かれます。クライマックスの地元の祭りのシーン。うれしそうに歌うメイ。
それを見守るモウ。
祭りの後の２人の会話がなんとも切ないです。それぞれのやるせない気持ちが
ヒシヒシと伝わってきてグッときてしまいました。確かに世の中には「どうに
もならないことがある」わけですが……。
その後のミュージックビデオ風の美しい映像。そして、意外な「雪」のシーン。
あらまあ「台北に舞う」のはそういう雪でしたか。そして、ラストのさわやか
な余韻を残すシーンもまた感動的ですねぇ。
モウ役は日本でもおなじみのチェン・ボーリン。「こんなヤツいない」と思う
ほど純朴すぎる青年ですが、彼が演じると違和感がありません。そして、メイ
役のトン・ヤオは劇中でも言われるようにちょっとチャン・ツィイーに似たカ
ワイイ女優さん。キラキラしてます。ただし、劇中での彼女の歌は、本人のも
のではなく、Cheer Chen（陳綺貞）という歌手の曲だそうです。癒される声で
す。
凝った脚本がなくとも良い映画は撮れる。フォ・ジェンチイの映画を観るたび
にそう思わされるのでした。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋１／２★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（切ないけれどさわやかで後味の良い恋愛映画。ストーリーは平凡ですがフ
ォ・ジェンチイ監督らしい映像は魅力十分。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年3月6日（土）シネスイッチ銀座にて。午後2時の回
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