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たみおのしあわせ
（2008年 日本）（上映時間1時間58分）
監督・脚本：岩松了
出演：オダギリジョー、麻生久美子、原田芳雄、大竹しのぶ、小林薫、忌野清
志郎、石田えり、冨士眞奈美、三木聡
＊シネスイッチ銀座ほかにて全国公開
ホームページ http://tamiono.jp/
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＜ストーリー＞
母親を亡くして以来、父・伸男（原田芳雄）と２人暮らしの民男（オダギリジ
ョー）。お見合いを断り続けていたが、ある時ついに理想の相手とめぐり逢う。
相手の女性・瞳（麻生久美子）も縁談に前向きで結婚が決まる。一方、伸男は
会社の部下、宮地（大竹しのぶ）と内緒で交際していたが……。
＜レビュー＞
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親子の葛藤のドラマかと思いきや、なんじゃ？そりゃ
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劇作家、演出家、俳優として活躍する岩松了の監督作。1993年の『お墓と離
婚』以来の長編映画第３作。
個人的には、劇作家、演出家としての彼はよく知らなくて、『となり町戦争』
『時効警察』（ＴＶ）などでの俳優のほうが印象的。とぼけた味のなかなか面
白い演技をする人です。
とぼけているといえば、この映画も、どこかとぼけた雰囲気です。二人暮しの
父と息子を中心に、いろんな人物が登場するのですが、すべての人物が個性的
で、ワケありっぽい感じ。
息子の婚約者の女性、父親と交際している部下、亡くなった母の弟……。特に
亡くなった母親の弟というのが個性的で、なんと屋根裏でこっそり暮らしてい
るのです。お前は江戸川乱歩か！ 「屋根裏の散歩者」か！？
一見まともそうな、息子の婚約者にしても、なんだか複雑な過去を背負ってい
るようです。何しろ「誰かが捕まえていないと凧みたいに飛んでいってしま
う」らしいのです。
こんなヘンな人たちが、どうでもいいようなことを延々と話します。とはいえ、
けっしてつまらないわけではなく、オフビートな笑いが満載でクスクス笑って
しまいます。『時効警察』をはじめとする三木聡監督（今回は役者としてご出
演）の作品と、やや共通する笑いかもしれません。
ドラマ的には大したことは描かれません。父と子の葛藤、父と恋人との愛憎劇、
息子と婚約者の関係、挫折した叔父の屈折した人生など、ドラマのネタはいく
らでも転がっているのですが、どれもチラチラ見せるだけで、それ以上はまっ
たく踏み込みません。
別に失敗したわけではなく、ワザと狙ってそうしているみたいですね。ありき
たりのドラマを拒否したラジカルな映画といえるかもしれません。
そのラジカルさが、さらに爆発するのがラストです。息子の結婚式のシーンな
のですが、その展開ときたらあまりに唐突。それまでにきちんとドラマを積上
げてきたなら理解できますが、そうでもないから戸惑うばかり。これって、何
を象徴しているの？ 父子の絆の深さ？ それとも結婚のバカバカしさ？
うーむ、意味不明です。
もちろん、これもワザとそうしているんでしょうね。「人それぞれ勝手に意味
を考えて、楽しんでくださいね」ということなのでしょう。まあ、推測しよう
とすれば、いろんなことが考えられるのは確かです。
そんなわけで、普通の親子のドラマを予想して観ると痛い目に遭います。かな
りラジカルでクセのある映画です。ハマる人はハマるけれど、ついていけない
人は全然ダメかもしれません。
それでも、会話の面白さに注目すれば、ある程度は楽しめそうです。オダギリ
ジョー、麻生久美子、原田芳雄、大竹しのぶ、小林薫という、超豪華な俳優陣
の演技も見応えがあります。特に大竹しのぶがエゲツなくてスゴイわぁ〜。あ
の忌野清志郎も、ヘンな役で出演です。
《ぽちの満足度》
★★☆☆☆（＋1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（ドラマ的には底が浅いし、ラストもワケがわかりませんが、会話の妙と役者
の演技でそれなりには楽しめるかも……。）
（ぽち）
〔鑑賞データ〕
2008年8月9日（土）シネスイッチ銀座にて。午後1時40分の回
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