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手紙
（2006年 日本）（上映時間２時間１分）
監督：生野慈朗
出演：山田孝之、玉山鉄二、沢尻エリカ、吹石一恵、尾上寛之、田中要次、山
下徹大、石井苗子、吹越満、風間杜夫、杉浦直樹
＊2006年11月公開／ＤＶＤ発売中
ホームページ http://www.tegami-movie.jp/
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＜ストーリー＞
川崎のリサイクル工場で働く青年、武島直貴（山田孝之）の兄・剛志（玉山鉄
二）は、かつて弟の学費欲しさに盗みに入った邸宅で人を殺し、現在は無期懲
役で服役していた。剛志からは毎月手紙が届くが、それが元で兄の事件のこと
を知られ、直貴は次々に苦境に陥る。お笑いでプロになる夢も、兄の存在によ
って断たれ、資産家の娘との縁談も壊れる。そんな彼を親身になって心配する
由美子（沢尻エリカ）だったが……。
＜レビュー＞
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東野圭吾の小説を映画化。前半は物足りないが後半は見応えアリ
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人気ミステリー作家・東野圭吾の同名小説を映画化した作品。兄が強盗殺人を
犯したことで、様々な差別に苦しむ主人公の姿を通して、加害者の家族をとり
まく社会の状況に目を向ける。
あれだけボリュームのある原作を２時間の映画にまとめるわけで、そこにはか
なりの困難が伴う。当然ながら全てをそのまま描けるわけでもなく、原作を
様々な形でアレンジして、素材を取捨選択して別の形の物語に仕上げていかね
ばならない。
その点、この映画はかなり奮闘しているといえよう。原作の持つテーマを生か
しながら、重要なエピソードだけをつなぎ、新たなエピソードも加えながら、
よりわかりやすい物語へと昇華させている。
ただし、やはり全体をなぞっているような印象はぬぐえず。特に前半で、主人
公が差別を受けて、どんどん兄への憎悪を募らせるあたりは、原作を読んでし
まった身としては、主人公の心理描写に物足りなさが残る。薄味の印象は否め
ない。
監督がＴＢＳドラマ出身の生野慈朗のせいか、映画独自の持つパワーを十分に
生かしきれていない感じもした。どうしてもテレビドラマの延長線にしか見え
ないのだ。
山田孝之もそんなに演技が上手いとは思えない。むしろ光るのは主人公を見守
る女性を演じる沢尻エリカだ。井筒監督の『パッチギ！』同様、包み込むよう
な演技が魅力だ。また、兄役の玉山鉄二も、演技場面ではほとんどセリフがな
く、あとは手紙のナレーションだけにも関わらず、抜群の存在感があった。
前半に比べて後半は、かなり見応えある展開となっている。特に、主人公が兄
の事件の被害者の親族と対峙する場面は、実に重くて濃いシーンだ。また、ラ
ストの刑務所の慰問シーンも心に残る。
原作では主人公が、バンド活動をするのだが、この映画ではお笑いになってい
る。それがどうにも不満で、なぜこんなことにしたのか理解できなかったのだ
が、ラストの慰問シーンで疑問は氷解した。よりわかりやすい展開にして、感
動をストレートに伝えるための仕掛けだったのだ。その効果は抜群で、たいて
いの人ならラストで涙腺がゆるんでしまうことだろう。
主人公の子供を使ったシーンも、これまた実に巧みで感動できる。
原作の魅力には及ばないけれど、それなりによくできた映画だと思う。できる
なら、もう少し映画らしさを前面に出して欲しかった。ラスト近くのサクラを
はじめ、見るからに美味しい素材がたくさんあるのだから。
《ぽちの満足度》
★★☆☆☆（＋1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（社会問題を絡めつつ、ラストは素直に感動できます。社会派ドラマというよ
りは感動物語を味わい方にオススメ。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2007年6月 DVDにて鑑賞。
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