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やじきた道中 てれすこ
（2007年 日本）（上映時間1時間48分）
監督：平山秀幸
出演：中村勘三郎、柄本明、小泉今日子、ラサール石井、笑福亭松之助、淡路
恵子、間寛平、松重豊、山本浩司、吉川晃司、鈴木蘭々、星野亜希、藤山直美、
國村隼、笹野高史
＊丸の内ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://www.telesco-movie.com/
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＜ストーリー＞
江戸の遊郭。花魁・お喜乃（小泉今日子）は、新粉細工職人の弥次郎兵衛（中
村勘三郎）を巧みにだまして、遊郭から連れ出してくれるように頼む。ちょう
どその時、同じ遊郭で弥次郎兵衛の幼なじみの役者・喜多八（柄本明）は、舞
台での大失敗を苦に首を吊ろうとしていた。思わぬ形で再会した弥次郎兵衛と
喜多八は、お喜乃の脱走を手助けして３人で旅に出るのだが……。
＜レビュー＞
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芸達者たちが集合した爆笑の人情コメディ。落語みたいなお話です
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弥次さん、喜多さんによる珍道中は、昔から誰もが知っているお話。最近では、
クドカン（宮藤官九郎）が監督した『真夜中の弥次さん喜多さん』がありまし
た。あちらは、ヤク中だの、同性愛だのをネタにしたアナーキーな雰囲気の弥
次喜多道中。一方、こちらはオーソドックスな人情コメディです。
時代は江戸時代。大阪で「てれすこ」なる奇妙な生物が話題になっている頃。
江戸・品川の遊郭では、花魁のお喜乃が新粉細工職人の弥次郎兵衛に作らせた
ニセの指を使って、客から金をせしめていた。
やがてお喜乃は、弥次郎兵衛をだまして（自分で作ったニセ指にだまされるア
ホな弥次さん！）、遊郭からの足抜きを手伝わせる。そんな中、弥次郎兵衛は、
舞台での大失敗を苦に首を吊ろうとしていた幼なじみの喜多八とばったり再会。
ということで、お喜乃＆弥次さん＆喜多さんの３人は、お喜乃の故郷・沼津を
目指して旅に出る……。
こうして旅の途中で３人が出くわす出来事が、ユーモラスに描かれていきます。
芸達者な役者たちの掛け合いによって、楽しい笑いが次々に生み出されます。
観ていて思ったのは「落語みたいなお話だなぁ〜」ということ。笑いのタッチ
がどれも落語のようなんです。それもそのはず、ボクは知らなかったのですが、
この映画には古典落語のネタがあちこちに散りばめられているそうです。タイ
トルにある不思議な生物「てれすこ」もその一つ（ついでに「すてれんきょ
う」もアリ）。途中で大々的にフィーチャーされる「タヌキの恩返し」の爆笑
エピソードも、「狸賽（たぬさい）」という落語ネタとのこと。なので、落語
が好きな人は、よけいに楽しめるのではないでしょうか。
弥次さんに扮する歌舞伎の中村勘三郎は、さすがに巧みな演技です。お喜乃に
扮する小泉今日子のコメディエンヌぶりもなかなかのもの。キップのいいタン
カが痛快です。
しかし、それ以上にスゲェ〜〜のが喜多八を演じる柄本明。あのハジケ方はハ
ンパではありません。白塗りの舞台姿から首吊りシーン、そして破天荒な酒乱
ぶりと、猛烈な暴れっぷり。志村けんとコントをやっていた時の演技を、何十
倍もパワーアップした感じ。
吉川晃司と鈴木蘭々の詐欺師夫婦、茶店の謎のオバハン藤山直美など、その他
のキャストもいずれも笑えます。お喜乃のライバル花魁に星野亜希（ほしのあ
き）を起用するあたりもユニークなキャスティング。
この映画の平山秀幸監督は、『愛を乞うひと』『ＯＵＴ』、そして前作『しゃ
べれども しゃべれども』（これも落語だ！）など、これまでは正統派で抑制
的な演出が目立ちましたが、今回はＣＧなども使いつつ（弥次さんが包丁の刃
を研ぐシーンなど）かなりハデめな演出を見せています。
クライマックスは弥次さんとお喜乃の恋の行く末を、ファンタジックなシーン
を織り交ぜて描きます。いかにも人情コメディらしい、ほのぼのとした展開で
す。ただし、欲をいえば、もう少しじっくり描いてもよかったのでは？ そう
すれば、笑いとのコントラストがくっきりして、もっと感動的なシーンになっ
たはず。
それから、もう１つ惜しいのが、あまりにもいろんなエピソードを詰め込んで、
話が散漫になっているところ。個々のエピソードは面白いだけに、全体のつな
がりが悪いのが残念ですね。
ともあれ、笑えるのは間違いなし。コメディ好きにはオススメできます。落語
を知っていると、もっと楽しめそう。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（幅広い観客が楽しめそうな爆笑コメディ。特に柄本明をはじめ役者たちのハ
ジケた演技が魅力。）
（ぽち）
〔鑑賞データ〕
2007年11月11日（日）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時45分の回。
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