天然コケッコー


(2007年 日本)(上映時間2時間1分)
監督:山下敦弘
出演:夏帆、岡田将生、夏川結衣、佐藤浩市、柳英里沙、藤村聖子、森下翔梧、
本間るい、 宮澤砂耶、斉藤暁、廣末哲万、黒田大輔、大内まり
*シネスイッチ銀座、渋谷シネ・アミューズほかにて全国公開
ホームページ http://www.tenkoke.com/
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<ストーリー>
山と田んぼが広がる木村町。中学2年の右田そよ(夏帆)は、小中学生合わせ
ても全校生徒6人という小さな分校に通っていた。そんなある日、東京から大
沢広海(岡田将生)という男子生徒が転校してくる。そよにとっては初めての
同級生。かっこいいけど、ちょっと無愛想な彼に、興味を抱くそよだったが…
…。

<レビュー>
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山下敦弘+渡辺あやの最強コンビで送る、さわやかな青春ストーリー
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山下敦弘監督は、『ばかのハコ船』『リアリズムの宿』など、ダメダメ男を描
けば天下一品の監督。それが、意外にも少女たちの青春真っ只中の物語『リン
ダ リンダ リンダ』に起用されて大成功を収め、それが評価されたのか、再び
青春ストーリーに起用されたのがこの映画。原作は、くらもちふさこの同名コ
ミック。

そして、今回のもう一つの注目は、犬童一心監督の『ジョゼと虎と魚たち』
『メゾン・ド・ヒミコ』などで知られる渡辺あやが脚本を担当していること。

舞台は、小中学生合わせても全校生徒6人という田舎の小さな分校。そこに通
う中学2年生の右田そよの前に、転校生の男の子が登場。初めての同級生の彼
に興味を持つようになり、少しずつ親しくなっていく……。

こうして、美しい田舎の風景をバックに、そよと転校生の大沢君の初々しい初
恋が描かれていきます。

山下監督の映画は、ちょっと間延びしたような独特の間があるのですが、これ
が青春ストーリーになると意外な効果を発揮します。こういう映画にありがち
なウソ臭さが消えて、等身大のリアル感が生み出されます。

おまけに、今回はひたすらのんびりした田舎のお話。独特の間と抑えた笑い
(バレンタインデーの一件とか笑えます)が、のほほんとした感じで、よけい
にピッタリくるんです。全編を包む雰囲気だけで、何だか癒されてしまいそう。

ドラマチックなことが起きるわけでもなく淡々とした日常が続く中で、思春期
の少女の心理がきちんと表現されていきます。海水浴、夏祭り、修学旅行、受
験などを通して、少しずつ成長していく姿がみずみずしく描かれます。後々ま
で心に残るシーンもタップリ。

猫がくつろぐシーンなどストーリーと直接関係のないシーンが、いかにものん
びりした感じで良い味付けになっています。村の美しい四季の風景も素晴らし
いですね。

そよが大沢君を好きになる心理には、おそらく都会への憧れもあると思うんで
す。ところが、東京への修学旅行で、彼女は都会に疲れてしまう。一方、大沢
君はやはり都会への思いを断ち切れず……。

というところで、2人の恋に障害が生まれて、さてさて、結末はどうなるの
か? これまたステキな結末。さわやかだし、ほほえましいし、心地よいです
ねぇ〜。

主演の夏帆は、さわやかさを地で行くような女の子。相手役の岡田将生もいか
にもあの年頃の男の子らしい。分校の子供たちもみんなかわいいのですが、特
に最年少の宮澤砂耶の自然な演技が素晴らしいですね。

夏川結衣、佐藤浩市など、ワキも実力者揃い。おもしろいのが郵便局員役の廣
末哲万。『14歳』で監督・主演するなど、インディーズで活躍する人ですが不
気味な感じがたまりません。大沢君の母親役の大内まりも印象的(ベテランの
モデルさんだそうです)。

言葉では表現しづらいのですが、この映画の生み出す独特の空気に触れたら、
誰もが心をリフレッシュできるのではないでしょうか。これだけさわやかな映
画を夏に公開したのは正解かも。美しい大自然と、みずみずしい生徒たちに触
れて、夏の暑さをしばし忘れてください。

《ぽちの満足度》
★★★★☆

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆(+1/2★)
(原作・脚本・演出がピタッと決まった、さわやかで心地よい映画。青春映画
好きでなくても楽しめると思います。リラックスしたい方はぜひ。)
                            <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2007年7月28日(土)新宿武蔵野館にて。午後1時30分の回。


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天然コケッコー
山下敦弘
渡辺あや
夏帆
岡田将生
夏川結衣