しあわせの隠れ場所(THE BLIND SIDE)


(2009年 アメリカ)(上映時間2時間6分)
監督・脚本:ジョン・リー・ハンコック
出演:サンドラ・ブロック、ティム・マッグロウ、クィントン・アーロン、キ
ャシー・ベイツ、リリー・コリンズ、ジェイ・ヘッド、レイ・マッキノン
*新宿ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://wwws.warnerbros.co.jp/theblindside/
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<ストーリー>
夫と2人の子供とともに幸せに暮らすリー・アン(サンドラ・ブロック)は、
ある冬の夜にポロシャツ1枚で歩く黒人少年マイケル(クィントン・アーロ
ン)を見かけ、かわいそうに思って自宅に泊める。マイケルは麻薬中毒の母親
と引き離され、ホームレス同然の生活を送っていた。やがてマイケルの優しい
心と高い運動能力を見抜いたリー・アンは、後見人となって彼を家族に迎え入
れる。アメリカン・フットボールを始めたマイケルは、その才能をどんどん開
花させていくのだが……。

<レビュー>
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美談を美談らしく描かなかったことで、ほのぼのとした感動が伝わる
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ホームレス同然の生活をしていた黒人少年が、白人のリッチな家族と出会い、
アメフトの一流選手になるまでを描いた実話をもとにした物語。

主人公は黒人少年ではなく、彼の後見人となる白人の夫人。彼女のキャラク
ターが魅力的です。幸せな家庭生活を送りながらも、家庭にこもらずにどんど
ん外へ出て行くアクティブな女性。思いついたらすぐに行動に移し、アメフト
のコーチもやり込める勝気な性格の持ち主。ユーモアもたっぷりです。

そんな個性的な主人公をサンドラ・ブロックが生き生きと演じています。魅力
的な人物を魅力的に演じるのは意外に難しいもの。それをきちんとこなしてい
るのだから、アカデミー主演女優賞を獲得したのも納得。

夫役のカントリー歌手のティム・マッグロウ、2人の子供を演じたリリー・コ
リンズとジェイ・ヘッド、家庭教師役のキャシー・ベイツなど、周囲のキャス
トもいい味を出しています。特にジェイ・ヘッド演じる末っ子の小生意気さが、
たびたび観客の笑いを誘います。

この物語の舞台はアメリカ南部。黒人差別が根強く残る土地柄だけに、主人公
の行動には相当な覚悟が必要だったはず。ただの金持ちの気まぐれや道楽では
済まない話です。

しかし、そうした面をあえて強調せずに、「何だかオモロイ奥さんが、猪突猛
進で変わった行動に出ちゃいましたよ」的な描き方をしているので、美談が鼻
につくこともなく、素直に受け入れられます。

クライマックスでは、順調に成長してきたように見えた主人公が、あることか
ら挫折しかけます。しかし、それによって家族の絆がさらに強まります。押し
つけでない、さりげない感動が味わえる場面です。

アメフトの試合シーン、選手のスカウト合戦などもテンポよく描いて、最後ま
で飽きさせません。エンディングには、モデルとなった実在のアメフト選手と
後見人家族の写真も登場します。

単なるヒーロー物語や感動の押し売りに走らずに、コメデイータッチのエン
ターティメントにしているのがこの映画のミソ。誰もが楽しく笑って、ほのぼ
のとした感動を味わって、最後には温かな気持ちになれる映画です。人間の出
会いの大切さがよくわかります。

《ぽちの満足度》
★★★☆☆(+1/2★)

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆(+1/2★)
(楽しく笑って心地よくなれる映画。美談を強調しなかったのが正解。サンド
ラ・ブロックの演技も見応え十分)
                             (田中ひろあき(ぽち))

〔鑑賞データ〕
2010年3月26日(金)新宿ピカデリーにて。午後2時20分の回


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