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ザ・コーヴ（THE COVE）
（2009年 アメリカ）（上映時間1時間31分）
監督：ルイ・シホヨス
出演：ルイ・シホヨス、リック・オバリー、サイモン・ハッチンズ、チャール
ズ・ハンブルトン、ジョー・チズルム、マンディ＝レイ・クルークシャンク、
カーク・クラック
＊シアター・イメージフォーラムほかにて公開。順次全国公開
ホームページ http://thecove-2010.com/
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＜ストーリー＞
1960年代の人気TV番組「わんぱくフリッパー」で調教師兼俳優として活躍した
リック・オバリーは、和歌山県太地町で行われているイルカの追い込み漁を中
止させるべく、撮影隊とともに現地を訪れる。地元関係者の厳しい監視を逃れ
て、撮影隊は隠密行動でカメラを仕掛けるのだが……。
＜レビュー＞
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主義主張はともかく、単純に映画としては面白い
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日本のイルカ漁の実態に迫ったドキュメンタリー。第82回アカデミー長編ドキ
ュメンタリー賞を受賞するなど、海外では大きな話題になった一方、日本では
右翼などの上映中止運動で騒動になった映画です。
イルカがいかに賢い生き物で、それを残虐に殺す人々がいかに愚かかを訴える
主旨は徹底しています。しかし、それをただストレートに訴えるのではなく、
ユニークな手法で描いているのが興味深いところ。
入り江でイルカが殺されるところを撮影しようとする製作者たち。地元の人々
の妨害を受けたことから、綿密な計画のもとに秘密のミッションを実行します。
岩に似せたカメラを作ったり、深夜の隠密行動を暗視カメラで撮影したり。ま
るでスパイ大作戦か特攻野郎Ａチーム。スリリングで驚きの展開です。
そうやって撮影したイルカの殺戮現場を、全編で「これでもか」と見せるので
はなく、クライマックスで抑制的に見せるのも見事な手法。おかげで、真っ赤
に染まった血の海がいっそう印象的に見えてきます。
そうした行動の中心人物として、元イルカ調教師で、その後イルカ解放運動に
身を投じたリック・オバリーを描いているのがミソ。波乱の人生がリアルに伝
わってきます。
さらに、イルカ肉に高濃度の水銀が含まれていることや、ＩＷＣ（国際捕鯨委
員会）で日本が金をばら撒いて、票を買っている実態なども告発。
また、けっして日本人全部が悪いわけではなく、大多数はイルカが食べられて
いることなど知らないことも示します。心憎いばかりの配慮です。
こうやって、あの手この手で観客を飽きさせずに、スクリーンの中に引き込ん
でしまいます。おかげで、作り手の主張もスンナリ受け入れてしまいそうです。
そういう意味で実によくできた映画です。
はたして、これをドキュメンタリーと呼べるのか。作り手の意図の範囲内でし
か描いていないのは確か。でも、それを言ったら、マイケル・ムーアの作品だ
って同じだし……。完全に中立で客観的な事実なんてありえないのだから、こ
ういうドキュメンタリーがあってもいいのでは？
まあ、何にしても単純に映画として面白いです。主義主張に関係なく、色々な
意味で楽しめる映画です。こんなに面白い映画を、「反日的」とかいう理由で
見せないのは、それこそ犯罪的行為だと思うのだが。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
（作り手の主張への賛否は冷静に判断するとして、映画としては単純に面白い
です。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年7月24日（土）シアター・イメージフォーラムにて。午後3時の回
[「さ」のページ] |
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