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ＴＯＫＹＯ！（TOKYO）
（2008年 フランス・日本・韓国・ドイツ）（上映時間1時間50分）
監督：ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノ
出演：藤谷文子、加瀬亮、伊藤歩、大森南朋、妻夫木聡、でんでん、ドゥニ・
ラバン、ジャン＝フランソワ・バルメール、石橋蓮司、北見敏之、嶋田久作、
香川照之、蒼井優、竹中直人、荒川良々、山本浩司、松重豊
＊シネマライズ、シネ・リーブル池袋ほかにて公開
ホームページ http://tokyo-movie.jp/
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＜ストーリー＞
・「インテリア・デザイン」（ミシェル・ゴンドリー監督）〜映画監督の恋人
アキラ（加瀬亮）と一緒に上京したヒロコ（藤谷文子）。高校時代の同級生ア
ケミ（伊藤歩）の部屋に居候しながら家と仕事を探すが、なかなか東京になじ
めない。やがて疎外感を感じるヒロコの体に異変が起きて……。
・「メルド」（レオス・カラックス監督）〜マンホールの中から突然出てきて、
人々に危害を加える"下水道の怪人"メルド（ドゥニ・ラバン）が東京に出現す
る。当局に追われて、ついに逮捕されるメルドだったが、誰も彼と意思疎通が
できず……。
・「シェイキング東京」（ポン・ジュノ監督）〜10年間引きこもりの生活を送
る男（香川照之）。いつものように土曜日に宅配ピザを頼むと、配達に来たの
は美しい少女（蒼井優）だった。たまたま少女と見つめ合ってしまう男。その
瞬間、突然地震が起きて少女は気絶してしまうのだが……。
＜レビュー＞
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世界的に知られる３人の鬼才監督が東京を舞台に描くオムニバス映画
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『エターナル・サンシャイン』『恋愛睡眠のすすめ』のミシェル・ゴンドリー
監督、『ポーラＸ』のレオス・カラックス監督、『殺人の追憶』『グエムル
漢江の怪物』のポン・ジュノ監督という３人の才能豊かな監督が、東京を舞台
に競作したオムニバス映画です。
いずれも、それぞれの監督らしさが発揮されていて、過去の作品を観た方なら
思わずニヤリとしてしまいそう。外国人監督が見た東京のユニークさも、そこ
かしこに描かれます。
最初はミシェル・ゴンドリー監督の「インテリア・デザイン」。前衛的な映画
を撮る映画監督（といっても卵）と一緒に上京して、高校時代の友人の家に居
候するヒロインが、高い家賃をはじめ東京の暮らしに慣れずにどんどん孤独に
なるというお話。
しかし、すごいのはそこから先。ヒロインの体に異変が起きて、彼女はとんで
もないモノに変身してしまいます。何になるのかはヒミツにしておきますが、
それによってようやく落ち着くという皮肉な展開。
現実には絶対にないことを、大胆かつ巧みに織り込んでいくファンタジーは、
ゴンドリー監督の得意技。ユーモアもタップリです。ヒロインを演じる藤谷文
子がとってもかわいらしい。
ゴンドリー監督が描くように、確かに東京は狭苦しい。よくもまあこんな狭い
ところに、いろんなものを詰め込んで暮らしているものだと、今さらながらに
思ってしまいました。
残念なのが、日本語の脚本のあちこちに違和感を持ってしまう点。最初はフラ
ンス語で書かれた脚本を日本語や英語にして練り上げたらしく、その過程で独
特のユーモアがうまく表現できなかった感じです。
続いて、２作目はレオス・カラックス監督の「メルド」。東京に"下水道の怪人
"と呼ばれるバケモノが登場するところは、完全に「ゴジラ」のパロディー（音
楽もそのまま使用）。
やがて逮捕された怪人と誰も意思疎通できず、唯一会話ができるというフラン
スの弁護士が来日。そこから２人がワケのわからない言語（？）を駆使して会
話するシーンが爆笑です（ちょっと長いけど）。ドゥニ・ラバン、ジャン＝フ
ランソワ・バルメールという２人の俳優の怪演が見もの。
３作品の中では、この作品が一番ストレートで、わかりやすいかも。見慣れた
銀座や渋谷で怪人が暴れる光景にも思わずニヤリ。途中で日本人が外国人排斥
に走ったり、逆に怪人を英雄視するところは、日本や東京だけでなく世界的な
病巣かもしれません。ラストの「次はニューヨーク編」という予告（？）も笑
えます。
３作目はポン・ジュノ監督の「シェイキング東京」。10年間引きこもっていた
男が、ピザ配達の少女とたまたま視線を合わせてしまう。しかもその時に地震
が起きて彼女が気絶してしまう。彼女に恋した男はついに外に出ることを決意
するが、10年の間に世の中は大変なことになっていて……というお話。
ポン・ジュノ監督といえば、ダメダメ人間が一瞬輝くというようなお話が多い
のですが、この映画も引きこもりのダメダメ人間が、ふとしたことから他者と
関わって人間らしさを取り戻します。東京をはじめとする大都会の孤独も背景
に描かれていて、なかなか興味深い作品。ちょっとオシャレなラブストーリー
の要素も入っています。
蒼井優演じるピザ配達人の体に描かれたボタンが、重要な役割を果たすアイデ
アが秀逸。自分も誰かの「ＬＯＶＥ」ボタンを押したいッ！！（笑）。
全作品ともユーモラスで楽しく観られるし、それぞれの監督の個性が発揮され
ているので、各監督の作品の入門編としても最適かもしれません。もしも気に
入った監督がいたら、他の作品も観てみたらいかがでしょうか？
《ぽちの満足度》
★★★☆☆
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（どの作品もそれぞれに個性的。３本のうち１本ぐらいは気に入るのでは？）
（ぽち）
〔鑑賞データ〕
2008年8月24日（日）シネ・リーブル池袋にて。午後1時15分の回
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