月に囚われた男(MOON)


(2009年 イギリス)(上映時間1時間37分)
監督・原案:ダンカン・ジョーンズ
出演:サム・ロックウェル、ケビン・スペイシー、ドミニク・マケリゴット、
カヤ・スコデラーリオ、ベネディクト・ウォン、マット・ベリー、マルコム・
スチュワート
*恵比寿ガーデンシネマほかにて公開
ホームページ http://moon-otoko.jp/
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<ストーリー>
近未来。地球のエネルギーは枯渇し、月から採掘した燃料を新たなエネルギー
源としていた。宇宙飛行士のサム・ベル(サム・ロックウェル)は、燃料生産
会社ルナ産業と3年契約を結んで、だった1人で月に赴任し、燃料を詰めたポ
ッドを地球に送る単調な毎日を過ごしていた。愛する家族との再会を待ちわび
ながら、孤独な生活に耐えるサム。だが、ある日不注意から事故を起こしてし
まう。やがて診療室で目を覚ましたサムは、そこで自分と瓜二つの男に会うの
だが……。

<レビュー>
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異様な緊張感が漂う手づくり感あふれるSF
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この映画の監督のダンカン・ジョーンズは、ロック・ミュージシャンのデビッ
ド・ボウイの息子。ボウイといえば宇宙をテーマにしたアルバムも出していま
すが、この映画は奇しくも宇宙を舞台にしたSF。

月でたった1人で燃料採掘を行うサム。話し相手は人工知能を搭載したロボッ
トのガーティのみ。地球との交信も故障によって不能になり、孤独にさいなま
れる日々。だが、3年の任期ももうすぐ終わる予定で、愛する家族との再会を
待ちわびていた……。

このハイテクの時代に、なんともアナログで手づくり感のあるSFです。なんだ
か『2001年宇宙の旅』の時代に戻ったような気さえします。それが逆に新鮮に
思えてきます。

サムの話し相手になるロボットのガーティも、『2001年宇宙の旅』のHALを彷彿
とさせます。しかも、なにやら挙動が不審。もしかしたら、これは『2001年宇
宙の旅』と同様に、ロボットが反乱を起こすのか?????

と思ったら、そうではありませんでした。まもなくサムが事故にあい目覚めて
みると、何だか様子がヘン。やがて彼は自分とそっくりのもう1人のサムに会
うのです。

いったいなぜこんなことになったのか。何が起きているのか。彼を雇ったルナ
産業という会社によるある企みが少しずつ明らかになっていきます。

舞台となるのは月。しかも、ほとんどが基地内のシーン。サムの孤独や焦燥感
を通して、異様な緊張感がスクリーンを包みます。独特の音楽も効果的。ハデ
なところはまったくないのに、途中で飽きることはありませんでした。

2人のサムの対面を通して、それまで隠れていたサムという人間の別の表情が
見えてくるのも面白いところ。

主演は、『フロスト×ニクソン』『コンフェッション』などのサム・ロックウ
ェル。3役をこなす熱演です。

クレジットにはケビン・スペイシーの名前もあったので、どこに出てくるのか
と思ったら、なんとロボットのガーティでの声の出演でした。

ラストの後日談は不要にも思えますが、ナレーションでさらっと触れる程度な
ので、まああっても良いかなという感じです。あそこでハイテク社会に対する
問題提起をチラッとしてみせたのでしょう。

ハリウッドの大作とはまったく違う手づくり感のあるSF映画。全編を包む緊張
感がたまりません。ハイテク時代だからこそ逆に新鮮に思える映画です。

《ぽちの満足度》
★★★☆☆(+1/2★)

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
(いまどき珍しい手づくり感あふれるSF。スクリーンを包む緊張感が魅力。SF
好きは観ておいて損はないのでは?)
                             (田中ひろあき(ぽち))

〔鑑賞データ〕
2010年4月25日(日)恵比寿ガーデンシネマにて。午後1時45分の回


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