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運命じゃない人
（2004年 日本）（上映時間１時間38分）
監督・脚本：内田けんじ
出演：中村靖日、霧島れいか、山中聡、山下規介、板谷由夏
＊ 2006年１月ＤＶＤ発売
ホームページ http://www.pia.co.jp/pff/unmei/
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＜ストーリー＞
お人好しで冴えないサラリーマン宮田武（中村靖日）は、結婚を前提にマンシ
ョンを購入したものの、恋人あゆみ（板谷由夏）に突然去られてしまう。ある
晩彼は、親友で私立探偵の神田（山中聡）に呼び出され、レストランへと向か
う。神田はあゆみを忘れるように諭し、宮田のためにと女の子をナンパしてみ
せる。その女、真紀（霧島れいか）は婚約者と別れて、泊まる家もなかった。
宮田は自分の家に泊まるようにすすめ、２人で帰宅するが、そこへ行方知れず
だったあゆみが戻ってくる……。
＜レビュー＞
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秀逸なアイデアと構成が光るサスペンス＆ラブコメ
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PFFアワード2002で入選を果たした内田けんじ監督の長編デビュー作。2005年の
カンヌ国際映画祭で批評家週間に正式出品されました。
この映画の魅力は、その秀逸なアイデアと巧みな構成にあります。人のいい主
人公の青年が、思いがけない事件に巻き込まれていく一晩の物語。それを主人
公を中心に時間軸に沿って描いていくのではなく、それぞれの登場人物ごとの
複数のドラマとして描いていく。それによって、パラバラに思えた線がやがて
一本に繋がっていくのです。
物語の発端は、真紀という女性の失恋。家出した彼女がレストランで食事中、
男に声をかけられる。そこから物語が発展するかと思いきや、さにあらず。今
度は宮田という純情な男のドラマが展開される。私立探偵の神田に呼び出され、
レストランへ出かける宮田。で、今度は宮田のドラマが展開すると思いきや、
神田のドラマが展開し……、というように、登場人物ごとの物語が描かれます。
最初のうちは、フツーのラブコメだと思っていたのですが、観ているうちに犯
罪サスペンスの様相が見えてきます。そして、どんどん引き込まれてしまった
のです。何しろ脚本が見事です。「やられたなぁ〜」というのが、正直な感想。
けっして、誰も考え付かないようなブッ飛んだアイデアではないのですが、そ
れでもこういうアイデアは出てこないですよねぇ〜。普通だったら。
登場人物それぞれの物語を観ているうちに、色々なことが少しずつ見えていく
快感ったらありませんよ。ぜひ一度自分の目で確かめてください。
低予算映画のせいか、知名度のある役者は、ヤクザの親分役の山下規介と宮田
の元恋人役の板谷由夏ぐらいですが、いかにも純朴そうな宮田役の中村靖日を
はじめ、どれも粒ぞろいの演技陣でした。
欲を言えば、もうちょっと、人間ドラマの要素を盛り込んでもらいたかったと
いう感じ。人生のおもしろさ、不可思議さ、ダメな人間に対する愛みたいなも
のとか……。
とはいうものの、なかなか楽しませていただきました。限られた枠の中でも、
ちゃ〜んと観客を楽しませる映画が作れることを立証したかのような映画。や
たらに、お金をかけりゃいいってもんじゃないのですヨ。ホント。貧乏人のひ
がみも入ってますけど……（笑）。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（アイデアと構成の巧みさが光る楽しい映画。意外性を求める方にはぜひオス
スメ。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2006年７月ＤＶＤにて鑑賞
[「う」のページ] |
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