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ウルトラミラクルラブストーリー
（2009年 日本）（上映時間2時間）
監督・脚本：横浜聡子
出演：松山ケンイチ、麻生久美子、ノゾエ征爾、ARATA、渡辺美佐子、原田芳雄、
藤田弓子
＊ユーロスペースほかにて公開。順次全国公開
ホームページ http://www.umls.jp/
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＜ストーリー＞
青森で野菜を作りながら一人暮らしをする青年、水木陽人（松山ケンイチ）。
野菜を売りに行った先の幼稚園で新任の町子先生（麻生久美子）に出会い、ひ
と目ぼれ。彼女の迷惑も考えずに強引にアプローチをする。実は、町子は、事
故で死んだ元カレの首がいまだに見つからず、占い師に相談するため青森にや
って来ていた。そんなある日、なぜか陽人がおとなしくなり、町子が"今のほう
がいいかも"と漏らしたことから……。
＜レビュー＞
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あまりにもユニーク！ 他に類を見ないぶっ飛びすぎのラブストーリー
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横浜聡子監督の前作『ジャーマン＋雨』は、かなり変わった映画だったそうで
す（筆者は未見）。そして、この映画も相当にぶっ飛んだ映画です。
主人公は青森で農業をする陽人という青年。天真爛漫で子どもみたい……とい
ったら聞こえがいいけれど、どうやら脳みそが普通の人とは違うらしい。その
せいで、何をやってもダメ。片っ端からものを忘れるし、亡くなった祖父が
テープに残してくれた作物の育て方を聞いても、まともに成功したためしがな
い。
そんな彼の前に出現したのが、幼稚園の先生の町子。彼女は東京で恋人を亡く
して、失意のうちにこの地にやってきていた。たちまち彼女にひと目ぼれする
陽人……。
というわけで、まともなら絶対にラブストーリーに発展するはずのない２人。
そこで横浜監督が用意したのは、アッと驚く仕掛けです。
陽人が、たまたま農薬を浴びたところ、何だか脳みその調子が快調に。町子に
も好感を持たれる思わぬ展開。そこで、彼は自ら農薬を浴びて、恋を成就させ
ようと必死になるのです。
現実には絶対にありえない奇想天外なお話。現実と虚構の世界を何度も行き来
します。首のない死者が普通に陽人と会話するなど、どんどんぶっ飛んだ世界
に突入。死者と生者、肉体と精神、正常と異常など、様々な境界線上でドラマ
が展開します。
そして、陽人自身の運命も、信じられないことになってしまいます。本当にビ
ックリ仰天の展開です。
タイトルに「ラブストーリー」とあるからといって、ありきたりの恋愛映画を
想像して観ると痛い目にあいます。ストレートに感動できるところや泣けると
ころはまったくありません。安直な感情移入など最初から拒否しているかのよ
うな映画です。
それでも、風変わりな青年の行動をクスクス笑いながら観ているうちに、不思
議な魅力が漂ってきます。相手に気に入られようとどんどん暴走していく彼の
姿は、ある意味、恋愛の最もピュアな部分を象徴しているともいえます。そこ
には邪心も何もありません。とにかく他に類を見ない不思議なラブストーリー
です。
津軽弁丸出しで演じる松山ケンイチには圧倒されるばかり。観ているうちに
「こいつならホントに別の人類に進化するかも……」な〜んて思ったほどでし
た。
ラストも「そんなアホな！」という結末。クマと脳みそ。こんな終わり方を思
いつくのは横浜監督だけでは？とにかくユニークな映画です。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆（＋1／2★）
（ぶっ飛びすぎのラブストーリー。個人的にはけっこう楽しかったけれど、つ
いていけない人も多そう。細かな意味を解釈せずに、大らかな気持ちで観るこ
とをオススメします。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2009年6月9日（火）シネマート新宿にて。午後4時20分の回
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