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その男ヴァン・ダム（JCVD）
（2008年 ベルギー・ルクセンブルグ・フランス）（上映時間1時間36分）
監督・脚本：マブルク・エル・メクリ
出演：ジャン＝クロード・ヴァン・ダム、フランソワ・ダミアン、ジネディー
ヌ・スアレム、カリム・ベルカドラ、ジャン＝フランソワ・ウォルフ、アン
ヌ・パウリスビック
＊シネマライズほかにて公開
ホームページ http://vandamme.asmik-ace.co.jp/
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＜ストーリー＞
ハリウッドでアクション・スタートして活躍したジャン＝クロード・ヴァン・
ダムだが、さすがに年齢には勝てず、最近はアクション・シーンをこなすのも
一苦労。おまけに私生活では金銭トラブルや娘の親権争いに悩まされている。
ある日、故郷のベルギー・ブリュッセルへと帰ってきたヴァン・ダムは、現金
を引き出そうと立ち寄った郵便局で、強盗団の襲撃に遭遇してしまうのだが…
…。
＜レビュー＞
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アクション・スターの自虐ネタ満載のコメディー。笑いの先に哀愁が
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誰でも名前ぐらいは知っている超有名なアクション・スター、ジャン＝クロー
ド・ヴァン・ダムをネタにしたユニークな映画。故郷のベルギーで郵便局強盗
に巻き込まれるという奇想天外なストーリーです。
おそらくこれがハリウッド映画なら、底抜けの爆笑パロディー映画になったこ
とでしょう。しかし、ヨーロッパで製作されたこの映画は、それほど単純な作
品ではありません。
もちろん基本はコメディーです。昔のような活躍はできず、私生活でもトラブ
ル続きというヴァン・ダムの自虐ネタのオンパレード。タクシーのオバサン運
転手に「映画のほうが良かった」とか「そんな人だとは思わなかった」とか容
赦なく悪態をつかれるあたりも笑えます。
『ハード・ターゲット』に主演してジョン・ウー監督のハリウッド・デビュー
に貢献したのに売れたら見向きもされなくなったとか、スティーヴン・セガー
ルに主役を奪われたとか、映画ファンなら思わず吹き出しそうなネタもテンコ
盛り。
郵便局強盗の１人が、熱烈なヴァン・ダムファンで、彼を励ますなんてところ
も笑えますね。
でも、ただ笑えるだけでなく、その向こうに哀愁が漂うのがこの映画の特徴。
落ち目で何をやってもうまくいかず、そして今またこんな悲劇に巻き込まれて
いる彼を見ているうちに、中年男の哀愁がジワジワと感じられます。悪を前に
しても、映画のようにカッコよく振る舞えず、ただ右往左往するあたりも切な
いですねぇ。
それがクッキリとするのが、後半で登場するヴァン・ダムの独白。自身の過去
と現在を搾り出すように語る彼の姿を見ていると、思わず胸にグッときてしま
います。「もしかして、これってヴァン・ダム自身の本心なのでは？」。いっ
たいどこまでがフィクションで、どこまでが現実なのか。それさえわからなく
なってくる構成です。
事件の結末も、アクション映画のようにカッコよくはいきません。いったん
ヒーローになるかと思いきや、現実にはアララララ……という結末。
とはいえ、それでも最後の最後には、ちょっぴりホッとさせるラストシーンも
用意されていたりして……。
セピアっぽい画面のトーン、どこかフィルム・ノワールを思わせる独特の雰囲
気。単純なパロディー映画ほどスッキリとは笑えませんが、とにかくユニーク
な映画です。監督のマブルク・エル・メクリはこれが長編２作目だとか。
それにしても、ここまで自虐的な映画にヴァン・ダムがよく出演したものです。
いくらなんでもそこまで出演作に困っているわけではないでしょうけれど。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆
（自虐ネタ満載のコメディーなれど、ちょっと変わった雰囲気を持つ映画。ヴ
ァン・ダムのファンは苦笑しそうですが……。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2009年1月12日（月）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後3時15分の回。
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