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私の中のあなた（MY SISTER'S KEEPER）
（2009年 アメリカ）（上映時間1時間50分）
監督：ニック・カサヴェテス
出演：キャメロン・ディアス、アビゲイル・ブレスリン、アレック・ボールド
ウィン、ジェイソン・パトリック、ソフィア・ヴァジリーヴァ、ジョーン・キ
ューザック、トーマス・デッカー、ヘザー・ウォールクィスト、エヴァン・エ
リングソン、デヴィッド・ソーントン
＊TOHOシネマズ日劇ほかにて全国公開
ホームページ http://watashino.gaga.ne.jp/
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＜ストーリー＞
フィッツジェラルド家の次女で11歳のアナ（アビゲイル・ブレスリン）は、白
血病の姉ケイト（ソフィア・ヴァジリーヴァ）を救うために、ドナーとして人
工受精によって誕生した。幼い頃から骨髄提供など何度もケイトのドナーとな
ってきたアナだが、ある日突然、自ら弁護士を雇い、腎臓の提供を拒んで両親
を訴える。母のサラ（キャメロン・ディアス）は娘の思わぬ行動に動揺するの
だが……。
＜レビュー＞
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ベタベタの感動物語ではなく、様々な要素を盛り込んだ家族のドラマ
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難病もので、家族愛のドラマ。いかにも「泣かせるぞ〜！」という素材ですが、
意外にもベタベタのお涙頂戴の映画ではありません。
白血病の姉ケイトを持つ11歳の妹アナが、弁護士に訴訟を依頼します。彼女は
姉のドナーとなるべく、遺伝子操作によって人工授精で誕生し、小さい時から
骨髄を提供するなど何度もケイトのドナーになってきました。そして、今度は
腎臓を提供するということになって、それを拒否したいと弁護士のところに来
たのです。
という筋立てを聞くと、法廷劇のようにも思えますが、そんなに法廷シーンが
多いわけではありません。
中心に描かれるのは家族のドラマです。白血病の姉ケイト、彼女のドナーとし
てつくられたアナ、家族の中で疎外感を感じる長男のジェシーなどを中心に、
それぞれの視点から家族のドラマが語られます。それも重たい素材にもかかわ
らず、ユーモアをこめつつ、軽いタッチで語られていきます。さらに、弁護士
や判事など脇役のドラマまできちんと描きこむ巧みな構成です。
興味深いのは、中盤で描かれるケイトと癌にかかった少年テリーとの恋物語。
みずみずしく、ほほえましく、そして切ないこのラブロマンスを通して、ケイ
トが彼女なりに充実した人生を送ったことがよくわかります。これがその後の
展開に効いてくるんですねぇ。
アナの家族は、みんなケイトのことを一番に考え、彼女が治ることを願ってい
ます。しかし、それがすべて同じ方向に向かうとは限りません。ケイトの母親
サラは、すさまじいまでにケイトの回復を願い、それに向かってひたすら直進
します。それが様々な家族の軋轢を生み出します。
クライマックスには意外な事実が明らかになります。アナが徹底的に腎臓の提
供を拒否した背景には、ある隠された事実があったのです。
というわけで、ベタベタではないものの、素直に感動できるドラマです。特に
最後のほうでは、それまでも何度か登場していたケイトの思い出ノートを効果
的に使って、キッチリ感動させてくれます。
「あなただったらどうします？」という形で、遺伝子操作や人工授精や、親子
の問題、延命治療、死生観などなど、難しい問題について考えさせる構成にな
っているのも、この映画の魅力。
裁判の結末をさりげなく伝えてアナの将来につなげたり、エンディングで家族
の後日談を描いて、しみじみさせるところなども心憎い仕掛けです。
『ジョンＱ−最後の決断−』『きみに読む物語』のニック・カサヴェテス監督
（父はジョン・カサヴェテス監督。母は女優のジーナ・ローランズ）は、相変
わらず見事な演出ですね。
母親役のキャメロン・ディアスに加え、姉妹役のソフィア・ヴァジリーヴァ＆
アビゲイル・ブレスリン（『リトル・ミス・サンシャイン』）、弁護士役のア
レック・ボールドウィン、判事役のジョーン・キューザックが絶品。そして、
音楽も素晴らしかったです。
《ぽちの満足度》
★★★☆☆（＋1／2★）
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）
（脚本も演出も演技もよくできた映画です。ただの感動物語にしなかったとこ
ろが見事。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2009年10月10日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後4時45分の回
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