ウォッチメン(WATCHMEN)


(2009年 アメリカ)(上映時間2時間43分)
監督:ザック・スナイダー
出演:ジャッキー・アール・ヘイリー、パトリック・ウィルソン、ビリー・ク
ラダップ、マリン・アッカーマン、マシュー・グード、ジェフリー・ディー
ン・モーガン、カーラ・グギーノ、スティーブン・マクハッティ
*丸の内ルーブルほかにて全国公開
ホームページ http://watchmen-movie.jp/
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<ストーリー>
ベトナム戦争、キューバ危機など世界の重大事件に関わってきた"ウォッチメン
"と呼ばれる監視者たち。だが、1977年、彼らは政府に活動を禁止される。1985
年、米ソの緊張が高まる中で、かつてウォッチメンとして活躍していたエド
ワード・ブレイクという男が暗殺される。それを知った"顔のない男"ロールシ
ャッハは、かつての仲間たちと事件の背景を調べ始めるのだが……。

<レビュー>
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アメコミのヒーローをシニカルに見つめた異色のサスペンス
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この映画の原作は、1986年に発表され、ヒューゴー賞を受賞するなど高い評価
を受けたアラン・ムーアのグラフィックノベルだそうです。

最近のアメコミ・ヒーローものの映画は、かなり屈折しているのが特徴ですが、
この映画もその系譜に連なる作品といえそうです。

物語が展開するのは、ウォッチメンの活躍によって、現実に起きたのとは微妙
に違う世界(ニクソンがずっと大統領だったり……)。

そして、物語の中心は、「ヒーロー狩り」の犯人探しをめぐるSFサスペンス。
かつて世界の重大事件の裏で活躍してきたものの、現在は政府に活動を禁止さ
れているウォッチメンというヒーロー集団。そんな中、元メンバーで"コメディ
アン"と呼ばれるブレイクが殺され、事件の背後に陰謀があると感じた旧メン
バーたちは真相を探ろうとします。

この映画には、それ以外にもいろいろな要素があります。特に目立つのは、従
来のアメコミのヒーローに対するシニカルな視点。ヒーローといっても、立場
を変えれば単なる人殺しだったりするわけで、はたして手放しで礼賛できるの
か……。

元ヒーローたちの虚しさを抱えた心理、事故で怪物になってしまった男の苦悩
なども描き、「ヒーローっていったいなんなのさ???」というテーマを追求
しています。

ただし、それが十分に描ききれているわけではありません。2時間40分以上も
ある映画なのに中途半端な感じです。おそらく、それだけ原作が深い内容で消
化しきれなかったのではないでしょうか。

聞くところによると、『未来世紀ブラジル』のテリー・ギリアム、『π』の
ダーレン・アロノフスキー、『ボーン・スプレマシー』のポール・グリーング
ラスなど名だたる監督がこの原作の映画化にチャレンジしたものの、みんな実
現しなかったとか。そういう意味では、努力賞ものかもしれません。

ということで、今回映画化を実現したのは、『300』のザック・スナイダー監督。
さすがに映像は見事。ダークで、クールなタッチがたまりません。アクション
シーンも見応えがあります。

一見、普通のヒーローもののエンディングかと思わせて、最後に意外などんで
ん返しに持っていくあたりも、なかなか面白いところ。

それにボブ・ディラン、サイモン&ガーファンクルなど、なつかしのミュージ
シャンの曲を適所に配した音楽も印象的。エンディングで流れるマイ・ケミカ
ル・ロマンスの曲もカッコいいです!!!

《ぽちの満足度》
★★☆☆☆(+1/2★)

《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆(+1/2★)
(異色のヒーロー・サスペンス。消化不良だけど映像は見応えあり。観るなら、
事前に公式ホームページなどで予習することをオススメします。)
                             (田中ひろあき(ぽち))

〔鑑賞データ〕
2009年3月29日(日)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時30分の回


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