世界最速のインディアン(THE WORLD'S FASTEST INDIAN)


(2005年 ニュージーランド・アメリカ)(上映時間2時間7分)
監督・脚本・製作:ロジャー・ドナルドソン
出演:アンソニー・ホプキンス、クリス・ローフォード、アーロン・マーフィ、
クリス・ウィリアムズ、ダイアン・ラッド、パトリック・フリューガー
*テアトルタイムズスクエア、銀座テアトルシネマほかにて公開
ホームページ http://www.sonypictures.jp/movies/theworldsfastestindian/
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<ストーリー>
ニュージーランド南端の街に住む63歳のバート・マンロー(アンソニー・ホプ
キンス)は、40年以上も前のバイクを改造し、ひたすら速く走ることに人生を
捧げてきた。やがて彼は、地上最速マシンのスピードを競う大会が行われるア
メリカユタ州のボンヌビル・ソルトフラッツを目指し旅立つのだが……。

<レビュー>
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スピード狂オジサンのロードムービー。元気になれます!
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バイク乗りのお話。といっても、主人公は若者ではありません。63歳の風変わ
りな男。ニュージーランドに住む彼は、40年以上も前のバイクを自己流で改造
し、速く走ることに賭けてきました。夢は、アメリカのボンヌヴィルでの大会
で世界記録に挑戦すること。肉体的な衰えから、これが最後のチャンスと感じ、
どうにか渡航費を捻出。貨物船にコックとして乗り込み、アメリカを目指す…
…。

というわけで、初老の男のロードムービーです。自己流で改造したマシンが40
年以上も前のもので、とてもスピードなんて出そうにないシロモノなのが、な
んとも痛快。そのへんのありあわせの部品や道具で改造するんですから。

それを走らせる男のキャラクターがこれまたおもしろい。陽気で楽天的で、ち
ょっとの困難なんか笑い飛ばしてしまいます。そのユーモアたっぷりの口調が
魅力的。それにつられて、周囲の人も自然に明るく元気になってしまうんです。

ニュージーランドからアメリカへと旅を続ける彼は、その途中で様々な人たち
と出会います。それがみんな良い人ばっかり。本格的なワルなんて誰もいませ
ん。田舎町の未亡人、モーテルの受付のオカマ、ベトナム従軍兵……。みんな
彼の魅力にひかれていきます。

普通ここまで善人ばかりだと、「そんなことあるかい!」とシラケてしまうの
ですが、この映画ではそうなりません。「こういう人なら周囲の人もみんな善
人ばかりだよね〜!」と納得してしまうのです。

それが端的にあらわれているのが、主人公が立ち寄ったバー。いかにもコワそ
うで、とっつきにくそうな人たちばかりなのに、彼と少し話しただけで、みん
な表情が変わってしまいます。

笑いどころもたくさんあります。特にニュージーランドの田舎町から、ハリウ
ッドに出て「おのぼりさん」状態の主人公は笑えます。

さて、こうして旅を続けてついに競技会場に着いた主人公。ところが、そこで
また騒動が……。それでも、やっぱり彼にはみんなが協力してしまうんですよ
ねぇ〜。

クライマックスの競技シーンはバツグンの迫力です。バイクと同じアングルか
ら撮られた映像がリアルなスピード感を生み出しています。

主人公を演じるのは、あの名優アンソニー・ホプキンス。『羊たちの沈黙』を
はじめ、アブナイ役の印象が強い彼ですが、さすがに抜群の演技力と存在感を
持つだけに、こういう役も見事に演じています。ウソくさくなりそうな話なの
に、彼が演じるとしっかりと現実感が出るんですよねぇ〜。しかも、ファンタ
ジー的な味もきちんと残してくれます。

監督のロジャー・ドナルドソン(『バウンティ/愛と反乱の航海』『13デイ
ズ』『リクルート』)の手堅い演出もなかなかのもの。

観終わるときっと爽やかな感動に包まれるはず。主人公と同年代の方だけでな
く、観た人誰もが元気になれる映画です。若い人は「自分もああいうオジサン
になりたい」と思うかもしれません。

ちなみに、タイトルの「インディアン」とは主人公のことではなく、バイクの
名前。とはいえ、途中で本物のインディアンも登場。

何より驚くのが実話をもとにした映画だということかもしれません。こんなス
ゴイ人が本当にいたんですねぇ〜。

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆(+1/2★)
(年齢性別を問わず、誰でも楽しめて感動できる映画。"夢"の素晴らしさをあ
らためて感じさせてくれますヨ)
                            <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2007年2月10日(土)テアトルタイムズスクエアにて。午後4時15分の回


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