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レスラー（THE WRESTLER）
（2008年 アメリカ）（上映時間1時間49分）
監督：ダーレン・アロノフスキー
出演：ミッキー・ローク、マリサ・トメイ、エバン・レイチェル・ウッド、
マーク・マーゴリス、トッド・バリー、ワス・スティーブンス、ジェダ・フ
リードランダー、アーネスト・ミラー、ディラン・サマーズ
＊シネマライズ、TOHOシネマズシャンテ、シネ・リーブル池袋ほかにて公開
ホームページ http://www.wrestler.jp/
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＜ストーリー＞
80年代に人気レスラーだったランディ・ロビンソン（ミッキー・ローク）だが、
今ではスーパーでアルバイトをしながら、地方で小さな興行に出場して現役を
続けていた。そんなある日、長年に渡るステロイド使用がたたりランディは心
臓発作を起こす。医者からは「命が惜しければリングには立つな」と忠告され
るのだが……
＜レビュー＞
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老レスラーの孤独。ミッキー・ロークの哀愁に満ちた演技が切なさを誘う
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ミッキー・ローク久々の主演映画。ヴェネチア国際映画祭金獅子賞、ゴールデ
ングローブ主演男優賞などを受賞。
主人公は、かつての人気レスラーで、現在はドサ回りのランディ。金銭的には
苦しい生活ながら、仲間やファンに愛され、レスラー生活を続けています。し
かし、さすがに年には勝てずに満身創痍。ある日、ついに心臓発作を起こし、
医師から引退するよう勧告されます。
それをきっかけに、新たな生活を始めようとするランディ。ストリッパーのキ
ャシディの勧めで、久しく会っていない娘に再会。スーパーでの仕事にも本腰
を入れます。しかし……。
老いたヒーローが復活を目指す物語は珍しくありません。しかし、ランディは、
金や名声のために再起するわけではありません。そこにしか自分の居場所がな
いことを知って、再び元の場所に戻ろうとします。それが、どうしようもない
切なさと哀愁を漂わせるのです。
特に後半は、切ないですね。せっかく人生をやり直そうとしても、そうそう自
分を変えることなどできません。いったん仲直りした娘ともまた仲違いして、
仕事でもトラブルを起こして、もはやカムバックするしかなくなったランディ
の姿。
とはいえ、ドラマをわざとらしく盛り上げたりはしません。『π』『レクイエ
ム・フォー・ドリーム』のダーレン・アロノフスキー監督は、全編に手持ちカ
メラ多用し、ドキュメンタリータッチで、揺れ動くランディの気持ちをはじめ、
登場人物の心の奥底をリアルに写し取っていきます。
プロレスの試合もかなりの迫力。そして、試合用の小道具の調達や段取りの相
談など舞台裏も興味深いところ。プロレスには、演劇と共通する要素があると
あらためて思いました。レスラーと俳優は似ているかも。
そして、忘れてはならないのが主演のミッキー・ロークです。かつての人気ス
ターが落ち目になって、再度カムバックしてきたという経緯はアンディと共通
するものがあります。自身の人生を投影させた演技は、年輪を感じさせる見事
なもの。深いシワ、傷だらけの体、老眼鏡をかけた顔、その姿だけで様々なこ
とを物語っています。彼のキャリアにおいて最高の演技でしょう。
ストリッパー役のマリサ・トメイ、娘役のエバン・レイチェル・ウッドも印象
的な演技でした。
ラストは余韻の残る終わり方。あの瞬間、アンディは間違いなく再び輝きを取
り戻したのです。そして、その後の彼は……。
エンディングで流れるブルース・スプリングスティーンの主題歌も素晴らし
い！
《ぽちの満足度》
★★★★☆
《ぽちのオススメ度》
★★★★☆
（不器用な男の哀愁に満ちたドラマ。ストーリー自体はありきたりだが、ミッ
キー・ロークの演技によって素晴らしい映画に。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2009年6月13日（土）シネ・リーブル池袋にて。午後2時20分の回
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