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やわらかい生活
（2005年 日本）（上映時間２時間６分）
監督：廣木隆一
出演：寺島しのぶ、豊川悦司、松岡俊介、田口トモロヲ、妻夫木聡、
大森南朋、柄本明
ホームページ http://www.yawarakai-seikatsu.com/
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＜ストーリー＞
大手企業の総合職だった橘優子（寺島しのぶ）は、両親と親友の突然の死をき
っかけに、躁鬱病となっていた。なんとなく居心地の良さを感じて東京・蒲田
へと引っ越してきた彼女のもとに、いとこの祥一（豊川悦司）が転がり込んで
くる。優子の躁と鬱の落差に戸惑う祥一だったが、彼女のために世話を焼く。
その後も、優子の周りにはさまざまなダメ男たちが集まってくるようになる…
…。
＜レビュー＞
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ダメ男に癒される躁鬱病のヒロインの日常
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2006年度の芥川賞を受賞した女性作家・絲山秋子のデビュー作『イッツ・オン
リー・トーク』を廣木隆一監督が映画化。主演の寺島しのぶとは『ヴァイブ
レータ』に続くコンビです。
舞台は東京の蒲田。35歳の躁鬱病のヒロインの何気ない日常が、廣木監督らし
い繊細な描写によって描かれます。病気を抱え孤独だけれど、けっして不幸と
も言い切れない。そんな微妙な女性の心理を巧みにすくい取って、等身大で描
いています。
彼女の生活に変化をもたらすのは、豊川悦司演じるいとこの祥一。妻子と別居
して、愛人を追って東京に出てきたというダメなヤツ。そんな彼が、優子の躁
鬱病に戸惑いつつ、一生懸命に優しく世話を焼きます。
この２人の関係が、とてもよく描けています。祥一はただのいとこというだけ
でなく、実は、かつて優子とも関係を持ったことがあるのですが、そういう複
雑な関係をうまく描き出しています。
そのほかにも、優子の周りに出現するのはダメ男ばかり。松岡俊介演じるＥＤ
の都議会議員、妻夫木聡演じる気の弱いヤクザ、田口トモロヲ演じる痴漢プ
レーにはまる男など。
そんなダメな連中とふれあううちに、優子は少しずつ癒されていきます。男た
ちも優子に癒されていきます。
『ヴァイブレータ』と同じ荒井晴彦の脚本もよくできています。特にセリフが
印象的で、祥一と別れるシーンでのセリフなどが見事。
ただし、ありきたりの癒し系映画と違うのは、優子は相変わらず壮絶な躁鬱病
を抱え、男たちも、すべてがハッピーとはいかないこと。いや、むしろ悲惨な
運命に遭遇する者もいます。
なかでも、ラストは衝撃的。個人的にはああいう終わり方は、趣味に合わない
かも。
やっぱり、こういう映画なら、どんなに悲しいことが起きても、「つまずいた
り、転んだりしながらも、彼女は生きていくだろう」というところを見せて欲
しかった気がします。
それにしても、寺島しのぶは、こういう自然体の役のほうが似合う。力の入っ
た芝居だと、力みまくって重たすぎるんだよね。
《ぽちのオススメ》
★★★☆☆
（結末は気に入らないけれど、廣木監督らしい心理描写は見応えあり。癒し系
映画とはいえ、ストレートに癒されるわけではないのでご用心。）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2007年5月3日（木）ＤＶＤ鑑賞
[「や」のページ] |
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