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誘拐ラプソディー
（2009年 日本）（上映時間1時間51分）
監督：榊英雄
出演：高橋克典、林遼威、船越英一郎、ＹＯＵ、哀川翔、菅田俊、榊英雄、木
下ほうか、笹野高史、品川徹、角替和枝、寺島進、ベンガル、美保純、山本浩
司
＊角川シネマ新宿ほかにて全国公開
ホームページ http://www.yuukai.jp/
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＜ストーリー＞
何をやってもうまくいかず、ついに自殺を決意した伊達秀吉（高橋克典）。だ
が、それも失敗する。そんな時、家出をしたという少年・伝助（林遼威）と出
会った秀吉は、彼の家が金持ちだと知り、誘拐を思いつく。ところが、なんと
伝助の父親・智彦（哀川翔）は暴力団"篠宮組"の組長だった。智彦は組員総出
で犯人探しを始める。一方、篠宮組の不審な動きを察知した警察も、彼らの後
を追い始めるのだが……。
＜レビュー＞
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誘拐犯と子供とのすれ違いの会話が楽しいロードムービー
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荻原浩の小説の映画化。借金を背負って自殺を図ったものの死にきれない男が、
家出したと話す子供とたまたま会ったことから、誘拐を決意。ところが、その
子の父親が暴力団の組長だったことからさあ大変……。
シリアスな犯罪サスペンスかと思ったら、実際はコミカルで楽しいドラマでし
た。何が楽しいかというと、主人公と誘拐した子供とのやり取り。
ダメダメな人生を送ってきた主人公の伊達秀吉。一発逆転を狙って誘拐に乗り
出したものの、誘拐した子供に振り回されて右往左往。情けなくて思わず笑っ
ちゃう主人公を高橋克典が好演。
それに負けていないのが誘拐された子供の伝助。基本的にはカワイイ子供です
が、同時に小生意気なところもあります。漢字が読めないといいながら、なぜ
か歴史上の人物の名前はよく知っていたり、外国語を話したり。演じる林遼威
クンがなかなか良い個性。大量のセリフを覚えるだけでも大変だったろうに。
そんな２人の「反乱の旅」はまさに珍道中。それぞれの会話のすれ違いが自然
な笑いを生み出しています。
伝助に翻弄されながらも、当初はうまくいきそうだった秀吉の誘拐計画。しか
し、黒澤明の『天国と地獄』ばりの身代金受け渡し劇のあたりから、次第に雲
行きが怪しくなります。
警察も真っ青の暴力団による本格的な追跡劇によって追い詰められる秀吉。暴
力団内部の裏切り者や警察なども絡んできて、事態は意外な方向へ。
それをテンポ良く描きだした監督の榊英雄は、もともと役者で、この映画でも
重要な役どころで出演。演出も無難でソツがありません。
ただし、残念なのは小説の映画化のせいか、消化不良のところが見られる点。
たとえば、主人公には複雑な過去があるようですが、そのあたりはチラチラと
見える程度で深くは描かれません。また、最後には重要な役どころを演じる警
部補ですが、その家族の登場のさせ方なども中途半端。
それでもクライマックスは、秀吉と伝助との心の通い合いで、きっちりと感動
させてくれます。ベタではあるものの、ついホロリとさせられます。
コミカルで楽しいロードムービーとしてはまずまずの映画。特に誘拐犯と子供
とのやり取りが絶妙。ある意味、この映画の主役は、高橋克典ではなく林遼威
クンかもしれません。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（誘拐犯と子供とのコミカルな交流が楽しいドラマ。しみじみとした感動も味
あわせてくれます。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年4月3日（土）角川シネマ新宿にて。午後5時15分の回
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