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ユメ十夜
（2007年 日本）（上映時間１時間50分）
監督：実相寺昭雄、市川崑、清水崇、清水厚、豊島圭介、松尾スズキ、天野喜
孝、河原真明、山下敦弘、西川美和、山口雄大
出演：小泉今日子、うじきつよし、中村梅之助、堀部圭亮、香椎由宇、山本耕
史、菅野莉央、市川実日子、大倉孝二、阿部サダヲ、藤岡弘、、緒川たまき、
ピエール瀧、松山ケンイチ、本上まなみ、石坂浩二、戸田恵梨香
＊渋谷シネ・アミューズ、シネ・リーブル池袋ほかにて公開
ホームページ http://www.yume-juya.jp/
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＜解説＞
文豪・夏目漱石の短編集『夢十夜』を豪華なスタッフ・キャスト陣で映画化し
たオムニバス。不条理で幻想的な10の夢の世界を10人の監督が映像化した。
＜レビュー＞
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10人の監督が描く世にも不思議な夢の見本市
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文豪・夏目漱石の短編集『夢十夜』を10人（10組）の監督が映画化したオムニ
バス映画です。その10人の監督というのがスゴすぎです。
昨年11月に死去した『ウルトラマン』の実相寺昭雄（脚本の久世光彦も昨年死
去）、『犬神家の一族』をセルフリメイクしたばかりの巨匠・市川崑、『呪
怨』の清水崇といったビッグネームから、『リンダ・リンダ・リンダ』の山下
敦弘、『ゆれる』の西川美和といった売り出し中の若手、そのほか、それなり
に知名度のある人から「誰だ？そいつは」てな人まで実にバラエティーにあふ
れた顔ぶれ。
いったい、誰が何の意図でこういう人選をしたのやら、さっぱりわかりません。
まさに監督のごった煮です。
そもそも10のエピソードをまとめて語るというのは無理なんですが、簡単に言
えばみんな「ありえねぇ〜」話です。そりゃそうですよね。描いているのは夢
なんだから。
とはいえ、映画の中身はバラバラで、映像美で見せるシュールな作品から、ホ
ラー、ファンタジー、ＣＧアニメ、オバカ映画まで揃っています。しっかりし
たテーマを持った作品もあれば、ワケのわからん作品もあります。
あえて共通項をあげれば、映像が際立って美しい作品が多いということでしょ
うか。最初の実相寺昭雄の作品なんて、そりゃあ、この世のものとは思えぬ美
しさ、妖しさ。演じる小泉今日子も魅力的です。
それに続く市川崑による無声映画のモノクロ映像も、なかなかに味わい深い映
像。
各作品とも10分程度の長さなので、それぞれの監督のエッセンスがぎっしり詰
まっているのもウレシイところ。
個人的におもしろかったのは、実相寺昭雄の「第一夜」、市川崑の「第二夜」、
清水崇の「第三夜」、清水厚の「第四夜」、西川美和の「第九夜」あたりでし
ょうか。
実相寺作品は、すでに述べたように映像美が見事だし、市川作品は奥深さを感
じさせる。清水崇作品は彼らしいホラーで夏目漱石役の堀部圭亮がいい味を出
している。清水厚作品は、典型的なファンタジーだが、子供の頃の封印された
記憶という素材を魅力的に見せていました。そして、西川美和作品は、女の情
念にあふれた作品で、なにやら阿部定のような女性のコワを感じさせられてし
まいました。
期待していた山下敦弘作品は、彼の持ち味は出ていたものの、あまりにシュー
ルでよくわかりません、あの巨大ミミズ（？）は気味悪すぎ。「鴎外先生
〜！」のギャグもやや滑りがちでした。
というように、雑多な作品が並んでいるし、作品全体を通した評価などできな
いのですが、どれもそれなりに楽しめる作品だし、楽しめなくても10分程度ガ
マンすれば次の作品が登場するし……ということで、ヒマつぶしには十分な映
画ではないでしょうか。
それにいろんな監督の特徴がわかるので、この映画をきっかけに、気に入った
監督のちゃんとした作品を観るという楽しみもありますね。
まあ、なんにしても笑ったのは、一番最後の「第十夜」に『魁!!クロマティ高
校 THE★MOVIE』の山口雄大監督による超オバカ映画を持ってきたことでしょ
うか。ほとんどスプラッターだろ。あれは。もう豚丼は食えないかも！？ ブ
ヒッ。本上まなみ、よくやったゾ！！
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆（＋1／2★）
（まとめて評価するのは強引だけど……。どうってことのない映画ですが、い
ろんな監督のカタログと思えばまあまあお得かも）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2007年1月27日（土）シネ・リーブル池袋にて。午後3時25分の回
[「ゆ」のページ] |
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