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座頭市 THE LAST
（2010年 日本）（上映時間2時間12分）
監督：阪本順治
出演：香取慎吾、石原さとみ、工藤夕貴、寺島進、高岡蒼甫、ARATA、ZEEBRA、
加藤清史郎、宇梶剛士、柴俊夫、反町隆史、豊原功補、岩城滉一、中村勘三郎、
原田芳雄、倍賞千恵子、仲代達矢
＊TOHOシネマズ有楽座ほかにて全国公開
ホームページ http://www.the-last-1.jp/
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＜ストーリー＞
"これが最後"と最愛の妻タネ（石原さとみ）に約束し、死闘に臨んだ市（香取
慎吾）だが、その戦いでタネが命を落としてしまう。悲しみと絶望に打ちひし
がれる市は、余生を静かに暮らそうと帰郷し、かつて一緒に博打の旅に出た旧
友の柳司（反町隆史）の家に居候し百姓として暮らす。だが、村は極悪非道な
博徒の天道一家が支配しており、百姓たちを苦しめていた。市は再び戦いの渦
中に巻き込まれていくのだが……。
＜レビュー＞
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市の人間性と暴力のむなしさを描いた異色の座頭市映画
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タイトル通りに座頭市の最期を描いた映画。
愛する妻を失い、悲しみの中で故郷で静かに暮らそうとする市。だが、村は極
悪非道な博徒に支配されており、市はやがて再び人を斬ることに……。
座頭市の映画ということで、当然、迫力のたちまわりもあります。仕込み杖を
持った市がバッタバッタと敵を斬り倒します。
しかし、この映画のメインはそこではありません。むしろ市の人間ドラマが主
眼。妻を失った心の傷。まっとうに生きようとするものの、それができないつ
らさ。人を思いやる優しい心。友情のためには自分を犠牲にすることも厭わな
い情の深さ……。
さらに、暴力の連鎖が招く悲劇、虚しさも前面に描かれます。ヤクザ同士の抗
争が百姓を苦しめ、それに暴力で立ち向かった百姓たちも悲惨な運命に直面し
ます。
過去のほとんどの作品で、骨太な人間ドラマを描き、社会的なテーマにも鋭く
迫ってきた阪本順治監督らしい映画です。
ただし、その分、従来の座頭市映画とはまったく異質な作品になっています。
おそらく過去の座頭市映画のファンは、違和感を持つのではないでしょうか。
香取慎吾の座頭市というのも意外な配役。これまでに演じてきた勝新太郎、
ビートたけしのような凄みやダークな感じはまったくありません。劇中で「化
け物」と呼ばれるシーンがありますが、まったくそうは見えないから笑ってし
まいます。
ただし、人間ドラマを重視したこの映画には意外に合っているのかもしれませ
ん。少なくとも、市の人間味を表現するにはピッタリの配役といえるでしょう。
人間ドラマや社会的なテーマが中心の映画とはいえ、クライマックスには迫力
の決闘が用意されています。ただし、それも単純明快な胸のすくアクションで
はありません。そこでも市は人間味を見せます。敵を完膚なきまでに斬りまく
るといったエンタメ時代劇とは、ほど遠いアクションです。
そして、ラストでは市の純愛をもう一度見せて「完」。
過去の座頭市のイメージを捨てて、それとは違うドラマとして観るのが正解で
しょう。香取慎吾以外の役者もなかなかの演技を見せています。特に仲代達矢
のワルぶりが壮絶。倍賞千恵子、工藤夕貴なども光ります。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（人間・座頭市を描き、暴力の連鎖のむなしさも描いた作品。勝新太郎、ビー
トたけしの座頭市とは別物だと思って観てください。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年5月29日（土）池袋ＨＵＭＡＸシネマズにて。午後3時45分の回
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