図鑑に載ってない虫


(2007年 日本)(上映時間1時間43分)
監督・脚本:三木聡
出演:伊勢谷友介、松尾スズキ、菊地凛子、岩松了、ふせえり、水野美紀、松
重豊、笹野高史、三谷昇、渡辺裕之、高橋恵子
*テアトル新宿ほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://www.zukan-movie.com/
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<ストーリー>
フリーライターの俺(伊勢谷友介)は、雑誌の美人編集長から"死にモドキ"を
使って臨死体験をして、死後の世界をルポするよう依頼される。相棒のエン
ドー(松尾スズキ)とともに"死にモドキ"探しの旅をするうちに、リストカッ
トマニアの女サヨコ(菊地凛子)が合流、その後も不思議な人々と出会いなが
ら旅を続けるのだが……。

<レビュー>
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くだらない脱力系ギャグ満載のゆるゆるコメディー
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TVドラマ「時効警察」シリーズや上野樹里主演の映画『亀は意外と速く泳
ぐ』などで知られる三木聡監督による新作。

過去の作品を観た人なら、もうおわかりでしょう。この監督の作品は、小ネタ
の連発。それも、あまりにもくだらなくて、脱力してしまうギャグの連続なの
です。

今回のお話は、フリーライターが編集長の命令で、臨死体験できる「死にモド
キ」というナゾの物体(タイトルを見ればわかるように正体は虫)を相棒とと
もに探すうちに、いろんなヘンな人に出会うというもの。

しかし、そんなストーリーはどうでもいいのです。ポイントは小ネタのギャグ
だけ。これから観る方のために、どんなネタかは伏せますが、ひたすらアホで、
マヌケで、くだらなくて、「なんだ、そりゃ?」という不条理なネタのみです。

それもハンパな数ではなく、大量に飛び出してくるからスゴイもの。「これだ
け出せば、どれかは笑えるだろう」という物量作戦でもないでしょうが……。
「三木監督って、小ネタを考えるのに命を懸けてるのでは?」とまで思えてく
るほどです。

とはいえ、誰でも笑えるネタではありません。筆者のように「時効警察」あた
りが好きな人にとっては、けっこう笑えてしまうのですが、笑いのツボが違う
人は全然笑えないでしょう。ハマる人はハマるけれど、ダメな人はサッパリ。
笑えなかったらキッパリと諦めましょう。

ハジケたキャラクターも魅力です。主人公の相方のエンドー、リストカットの
傷痕でワサビをする困った女サヨコ、目玉のシャツを着たヤクザのおっちゃん、
その手下のちょろりなど、「お前ら、どういうヤツなんだよ!?」と苦笑する
しかないアホアホな連中ばかり。

特に三木作品の常連の岩松了とふせえりの演技には、もう脱帽するしかありま
せん。『バベル』で一躍有名になった菊地凛子も、ここでは三木色に染まって
立派なコメディエンヌぶり。美人女優水野美紀に、あんなオゲレツな演技をさ
せてしまうのも、くだらないギャグに命を懸ける三木監督のマジックによるも
のでしょうか。

というわけで、個人的にこういう笑いは好きでけっこう楽しめたのですが、違
和感もありました。なぜかといえば、こういう笑いは、いわば密室の笑いで、
家のテレビで一人で笑うのにピッタリ。それを劇場で大勢の観客とともに楽し
むのは、ちょっとヘンな感じがするのです。『亀は意外と〜』の時も同じよう
に感じたんですけどね。

最後に、読者サービスで一個だけ劇中の小ネタをバラしちゃいましょう。

「動物園」「動物園」「海」ってなんだかわかります? ZOO、ZOO、S
EA。ずうずうしい。「図々しい」ですって。あ〜、くだらねぇ〜(笑)。

《ぽちの満足度》
★★★☆☆

《ぽちのオススメ度》

★★☆☆☆(+1/2★)
(くだらない小ネタ満載で、ハマる人はハマります。「時効警察」がおもしろ
かった人は絶対楽しめるはず。まあ、三木作品を未体験の人は、ダメもとで試
してみてもいいかもしれません。)
                            <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2007年7月1日(日)テアトル新宿にて。午後4時30分の回。


[「す」のページ]




図鑑に載ってない虫
三木聡
伊勢谷友介
松尾スズキ
菊地凛子
岩松了
ふせえり