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ずっとあなたを愛してる（IL Y A LONGTEMPS QUE JE T'AIME）
（2008年 フランス・ドイツ）（上映時間1時間57分）
監督・脚本：フィリップ・クローデル
出演：クリスティン・スコット・トーマス、エルザ・ジルベルスタイン、セル
ジュ・アザナビシウス、ロラン・グレビル、フレデリック・ピエロ
＊銀座テアトルシネマにて公開。順次全国公開
ホームページ http://www.zutto-movie.jp/
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＜ストーリー＞
幼い息子を殺して、その理由を語らずに15年の刑期を終えたジュリエット（ク
リスティン・スコット・トーマス）は、再会して間もない年の離れた妹レア
（エルザ・ジルベルスタイン）の家へ身を寄せる。初めは心を閉ざしていたジ
ュリエットだが、レアの養子などとの交流を通して少しずつ変わっていく。し
かし、ある時、レアはジュリエットの部屋で事件の真相に迫る秘密を発見して
……。
＜レビュー＞
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過去に傷を負った女性の再生への道をていねいに描いた余韻の残る映画
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6歳の息子を殺害した罪で15年間服役していた女性が、年の離れた妹やその周囲
の人々と触れ合ううちに、少しずつ再生していく物語です。
冒頭は、空港でタバコを手にした主人公ジュリエットの姿。その微妙な表情が
印象的です。彼女を迎えに来たのは妹のレア。2人が再会したのは、つい最近の
こと。ジュリエットはレアの家に身を寄せます。レアの家族は夫のリュックと
義父、ベトナムから養子として迎えた８歳のプチ・リスと幼いアメリア。
初めのうち、ジュリエットの心は孤独と絶望に包まれています。両親から姉の
存在を忘れるように言われて育ったレアは、空白の時間を埋め合わせようとし
ますが、ジュリエットはなかなか心を開きません。それでも、レアの家族や周
辺の人たちと触れ合ううちに、少しずつ変化していきます。
全編を通してジュリエットと彼女を取り巻く人々のようすが、ていねいに描か
れています。過剰な描写もなく、タッチはあくまでも抑制的。基本的には、ジ
ュリエットが良い方向に向かっていくところを描いているのですが、その過程
で彼女がイラついたり、悩んだりするところもきちんと描かれます。妹レアの
苦悩やレアの夫の混乱、世間の冷たい視線なども織り込んで、一面的ではない
描き方をしているので、ドラマが自然に受け止められます。
レアの養女、義父、同僚男性、そして不思議な雰囲気を持つ警察官などの人物
もジュリエットの変化を導く存在として効果的に使われています。
ジュリエットが息子を殺した罪で服役していたことは、わりと早くわかってし
まうものの、いったいその背景に何があったのかはなかなか明らかにされませ
ん。そんな謎解きの興味もかきたてられる展開です。
その答えが明らかになるのはラスト。そのあまりにもつらく、悲しい告白劇の
後に提示されるのは、一筋の希望の光。ジュリエットの「私は、ここにい
る。」という言葉が心に残ります。
ジュリエット役は『イングリッシュ・ペイシェント』などのクリスティン・ス
コット・トーマス。表情だけで心の奥底を的確に表現するその含蓄のある演技
は絶品です。イギリス人とはいうものの、フランスで勉強していたこともある
そうで、全編フランス語のこの映画でも違和感はありません。
監督は、人気小説家のフィリップ・クローデル。初監督作品にもかかわらず、
気負ったところもなく、丹念な演出を心がけているところに好感が持てます。
1人の傷ついた女性の再生を描いた深い余韻の残る映画。しみじみとした感動が
味わえます。
《ぽちの満足度》
★★★★☆
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆（＋1／2★）
（ていねいな筆致が印象的な人間ドラマ。しみじみとした感動を味わいたい方
にはオススメ。）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2010年1月9日（土）銀座テアトルシネマにて。午後1時20分の回。
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