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悪魔を見た（I SAW THE DEVIL）
（2010年 韓国）（上映時間2時間24分）
監督：キム・ジウン
出演： イ・ビョンホン、チェ・ミンシク、オ・サナ、チョン・グクァン、チョ
ン・ホジン、キム・ユンソ、チェ・ムソン、キム・インソ
＊丸の内ルーブルほかにて全国公開
ホームページ http://isawthedevil.jp/
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＜ストーリー＞
国家情報院捜査官スヒョン（イ・ビョンホン）の婚約者ジュヨンが惨殺される。
スヒョンは、ジュヨンの父で重犯罪課の刑事だったチャンの協力を得て、残虐
な連続殺人犯ギョンチョル（チェ・ミンシク）の犯行であることを突き止める。
復しゅうの鬼となったスヒョンは、犯人に婚約者と同じ苦しみを与えるべく、
執ようなまでに追いつめる。ギョンチョルを見つけ出すと徹底的に叩きのめす
ものの、とどめを刺すことなく解放し、ギョンチョルが新たな犯行に及ぼうと
すると、先回りして容赦のない制裁を加えるのだったが……。
＜レビュー＞
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残虐な犯人を追う復讐者の狂気。あまりにも壮絶な復讐劇
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『甘い人生』『グッド・バッド・ウィアード』のキム・ジウン監督による、あ
まりにも壮絶すぎる復讐劇。
ストーリーそのものはシンプルです。婚約者を惨殺された国家情報院の捜査官
スヒョンが、犯人を突き止めて復讐に乗り出すというもの。
しかし、これがただの復讐ではありません。スヒョンは犯人のギョンチョルを
捕まえていたぶるものの、命までは奪わずに解放します。そして、ギョンチョ
ルにGPSカプセルを飲ませて、彼が新たな犯行を行おうとすると先回りして、ま
たしても容赦なくいたぶるのです。もちろん、婚約者が味わった苦しみを、ギ
ョンチョルにも味わわせてやろうという強烈な復讐心からです。
観客は当然、最初はスヒョンに感情移入します。何しろ大切な婚約者をあんな
に惨く殺されたのですから。
ところが、まもなく観客は混乱してきます。スヒョンの復讐ぶりは、もはや常
軌を逸して、タイトルどおり「悪魔」性を帯びてきます。
しかも、復讐の前振りとして、スヒョンの悩みや苦しみがサラリとしか描かれ
ないので、なおさらスヒョンの悪魔性が強く印象付けられます。
一方、ギョンチョルは改心して許しを請うどころか、相変わらず女を犯し殺そ
うとします。自分を追うスヒョンに対する憎しみの炎も、どんどんたぎらせて
いきます。
こうして観客は誰にも感情移入できず混乱しながらも、人間の心の闇を容赦な
く突きつけられます。犯人と復讐者の両者に、「悪魔」を見出すというおぞま
しい世界に足を踏み入れてしまうのです。
それはおぞましいがゆえに、魅力的でもある世界。スリリングな演出、キレの
ある映像、効果的な音響などもあいまって、いつの間にか目が離せなくなって
しまいます。
最近はこういう役も似合うようになったイ・ビョンホン、この手の役はお手の
もの（しかも、いつもよりさらに怖い）チェ・ミンシクの対決も壮絶さを加速。
スヒョンの復讐は恐ろしい悲劇を招きます。しかし、それでもこの映画に安易
な大団円などはありません。さらに、すさまじい結末へとなだれ込みます。
復讐は是か非か、正義とは何か、そんな問題さえ超越する壮絶な映画です。殺
人シーンを中心に残忍な場面が連続するので、誰にでもオススメはできません
が、観客の目をひきつけるという点では文句なしに良くできた映画です。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★☆☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年2月27日（日）新宿ミラノにて。午後1時20分の回
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