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アリス・クリードの失踪（THE DISAPPEARANCE OF ALICE CREED）
（2009年 イギリス）（上映時間1時間41分）
監督・脚本：Ｊ・ブレイクソン
出演： ジェマ・アータートン、マーティン・コムストン、エディ・マーサン
＊ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷にて公開。
順次全国公開
ホームページ http://www.alice-sissou.jp/
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＜ストーリー＞
ヴィック（エディ・マーサン）とダニー（マーティン・コムストン）は富豪の
娘アリス・クリード（ジェマ・アータートン）を誘拐し、用意していた部屋に
連れて行き手足をベッドに縛り付けて監禁する。身代金200万ドルを要求する２
人。犯行は順調に進むかに思われたが、次第に３人の関係がねじれていき、歯
車が狂い始める……。
＜レビュー＞
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登場人物わずか３人なのに一瞬も目が離せない犯罪サスペンスの快作！
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イギリスの新鋭Ｊ・ブレイクソン監督が、自らの脚本で長編デビューを果たし
たクライム・サスペンス。
刑務所仲間のヴィックとダニーという２人の男が、大金持ちの娘のアリス・ク
リードを誘拐して身代金を要求するお話。
冒頭からしばらくは、２人の男が犯行の準備をするところを、セリフ抜きでテ
ンポよく、たたみかけるように描いていきます。着用していた服を捨てるなど、
周到な計画であることがすぐにわかります。そしていよいよ実行。
誘拐されたアリスは用意された部屋に連れ込まれ、ヴィックとダニーによって
手足をベッドに縛られて自由を奪われます。それを撮影した写真が彼女の父親
に送られます。
ところが、その後、状況が変化します。アリスは、ヴィックが外出した隙に近
づいてきたダニーを攻撃し、もみ合ううちに銃を発砲！ さらに、ダニーのマ
スクを剥ぎ……。
そこから先に何が起きるのか、そこがこの映画の肝なので詳しくは伏せますが、
３人それぞれの関係が微妙に変化していきます。ヴィックがたびたび用事で外
へ出て行くのがミソ。お互いに秘密とウソを抱えたまま、３人の間でギリギリ
の心理戦が展開され、主導権が行ったり来たりします。
高圧的で切れやすいヴィック、線の細いダニー、一見か弱そうで実は何を考え
ているかわからないアリスというキャラ設定が秀逸。その３人の関係性もよく
考えられています。
けっして荒唐無稽なことではなく、男女の恋愛感情や同性愛などリアリティの
あるネタをドラマの背景に使っているので、自然にスクリーンに引き込まれま
す。中盤、発砲された銃弾を巡るスリリングなやり取りも面白いところ。
後半になっても緊張感はまったく途切れません。いったいこの先どうなるの
か？ 最終的に誰が金を手にするのか？ 生き残るのは誰なのか？ 予測不能
なままドラマが進んでいきます。
実は、この映画に登場するのは、なんとヴィック、ダニー、アリスの３人のみ
（演じるのは『００７／慰めの報酬』のジェマ・アータートン、『SWEET SIXTE
EN』のマーティン・コムストン、『シャーロック・ホームズ』のエディ・マー
サン）。警察も被害者の家族も、姿どころか、声さえ聞こえません。しかも舞
台のほとんどはアリスが監禁されたアパートの密室だけ。
それなのに、よく練り上げられたシナリオと演出によって、バツグンに面白い
映画に仕上がっています。最初から最後までまったく目が離せませんでした。
監督のＪ・ブレイクソンの才気を感じさせる一作。この映画をきっかけにハリ
ウッド進出が決まったというのも納得の快作です。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★★☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年6月11日（土）ヒューマントラストシネマ有楽町にて。午後2時20分の回
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