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幕末太陽傳 デジタル修復版
（1957年 日本）（上映時間1時間50分）
監督：川島雄三
出演：フランキー堺、南田洋子、左幸子、石原裕次郎、芦川いづみ、金子信雄、
織田政雄、岡田眞澄、植村謙二郎、河野秋武、二谷英明、西村晃、高原駿雄、
小林旭、武藤章生、小沢昭一、梅野泰靖、新井麗子、菅井きん、山岡久乃、殿
山泰司、市村俊幸
＊テアトル新宿ほかにて公開
ホームページ http://www.nikkatsu.com/bakumatsu/
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＜ストーリー＞
幕末の文久2年、品川の遊郭で飲めや歌えやの大騒ぎを繰り広げた佐平次（フラ
ンキー堺）は、一文の金も持っていなかったため、遊んだ分を居残りで働いて
返すことにする。お調子者の佐平次は、遊郭で巻き起こる騒動を次々と片付け
て、みんなから頼りにされるようになるのだが……。
＜レビュー＞
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日本の喜劇映画の歴史に残る快作のデジタル修復版
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川島雄三監督が1957年に発表した作品を、2012年の日活創立100周年記念事業の
一環として最新のデジタル技術によって修復した映画です。
物語のベースは古典落語の「居残り佐平次」。幕末の品川の遊郭で、無一文で
ドンチャン騒ぎをした佐平次という男が、そのまま居残って支払い分を働いて
返すというお話。それと並行して高杉晋作をはじめとする攘夷派の武士、遊郭
の主人夫婦とその放蕩息子、ライバル同士の２人の遊女、その客たちなどの多
彩なエピソードが描かれるグランドホテル形式の喜劇です。
50年以上も前の映画なのに、テンポの良さ、エピソードの切り替えの巧みさな
どが光り、まったく古びた感じがしません。中盤の遊女同士の壮絶なケンカ
シーンのリアルさなども特筆ものです。
セリフもテンポが良くて、時にはあまりのテンポのよさに聞き取れないところ
もあったりして……。
そして、全編を貫くのが登場する人々のたくましさです。なかでも、主人公の
佐平次。あれこれ知恵を絞って金を稼ぎ、武士にも臆することなく対峙します。
頼まれ事をした相手をいったんだまして、最後には自分に利益がもたらされる
形で救うあたりのしたたかさ。ラストの「オイラ、まだまだ生きるんでえ」の
セリフも心に残ります。
それ以外の人物もみんな生き生きと描かれていて、しかも“粋”。落語がベー
スの話だけに、遊女と客の心中未遂＆幽霊話など落語的なエピソードを中心に、
様々な笑いを生み出します。
当時のスターを大量投入したにも関わらず、全員がでしゃばりすぎず、与えら
れた役割の中で個性を発揮しているのも印象的です。出演者の多くはすでに故
人となってしまいましたが、その若き日の輝く姿が見られます。
日本の喜劇映画の歴史に残る作品なのは間違いなし。デジタル版で映像もきれ
いになっているので、一見の価値はあります。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年12月28日（水）テアトル新宿にて。午後1時30分の回
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