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ビー・デビル（BEDEVILLED）
（2010年 韓国）（上映時間1時間55分）
監督：チャン・チョルス
出演：ソ・ヨンヒ、チ・ソンウォン、パク・チョンハク
＊シアターＮ渋谷ほかにて公開
ホームページ http://www.kingrecords.co.jp/bedevil/
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＜ストーリー＞
ソウルでの都会生活に疲れた銀行員のヘウォン（チ・ソンウォン）は、子供の
頃に暮らした島へやってくる。そこは住民わずか9人の絶海の孤島。ヘウォンは
幼なじみのキム・ボンナム（ソ・ヨンヒ）の歓迎を受ける。だが、実は彼女は
夫や姑をはじめ村人たちから奴隷扱いされていた。やがて、ヘウォンはボンナ
ムから助けを求められるのだが……。
＜レビュー＞
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人間の黒い一面が浮かび上がる絶海の孤島の壮絶な復讐劇
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いまや韓国映画の得意分野になった観のある復讐劇。壮絶さに加え、人間の暗
部をこれでもかと突きつける点では、出色の作品です。
ソウルの都会生活に疲れた銀行員のヘウォンという女性が、子供の頃に過ごし
た絶海の孤島を訪問。そこに住むのは幼なじみのボンナムをはじめ、わずか9人
の住人。ヘウォンを笑顔で大歓迎するボンナム。ところが、彼女は夫や姑など
によって暴力と虐待で支配されており、他の住人も見て見ぬふりでそれに加担
していた……。
前半で描かれるボンナムの境遇が、凄まじいものです。夫や義弟の暴力と恥辱、
姑の罵り。徹底的に痛めつけられ、虐げられています。封建的な雰囲気の中で、
他の住人たちもそれを黙認しています。まさに人間の嫌な部分のオンパレード。
あそこまで極端なケースは珍しいにしても、似たようなことは現実にもあるの
では？と思わせられました。犯罪的な行為をする当人はもちろん、見て見ぬふ
りで加担する人々の恐ろしさが伝わってきます。
それでもしばらくは耐え忍ぶボンナム。ヘウォンとの幼い頃の思い出が、彼女
のバックグラウンドとして印象的に描かれます（やや同性愛的なタッチも）。
やがてヘウォンに救いを求めるボンナム。しかし、2人の間には微妙なすきま風
が吹きます。
そして、ある時、衝撃的な出来事をきっかけにボンナムはついに大変身を遂げ
ます。後半は大量猟奇殺人。あまりにも凄惨なバイオレンスシーンの連続です。
首を鎌でぶった切るシーンなど、通常なら思わず目を背けたくなる光景ですが、
そこに至るまでのボンナムの苦悩がリアルに描かれているので、思ったほど嫌
悪感は感じませんでした。
まさに悪魔と化した人物による戦慄の行為。しかし、前半での島の人々による
行為もある意味で悪魔的。悪魔ＶＳ悪魔の対決と言えば、この作品の少し前に
公開されたイ・ビョンホン、チェ・ミンシク競演の『悪魔を見た』を思い起こ
させますが、それと共通するテーマ性を感じさせます。
エスカレートする殺人。それは、ついにヘウォンの身も危険にさらします。は
たしてその運命は……。
ラスト近くは少しやりすぎの感もありますが、冒頭の殺人事件やボンナムの手
紙を使って巧みにまとめています。特に、ヘウォンの体と孤島の全景を投影し
たラストシーンが印象的。
ボンナムを演じた『チェイサー』のソ・ヨンヒの鬼気迫る怪演が見事。キム・
ギドク監督の下で助監督を務め、これが長編デビューというチャン・チョルス
の演出も見応えがあり、復讐劇として高いレベルの映画に仕上がっています。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年4月20日（水）シアターＮ渋谷にて。午後1時45分の回
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