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ブローン・アパート（INCENDIARY）
（2008年 イギリス）（上映時間1時間40分）
監督・脚本：シャロン・マグアイア
出演： ミシェル・ウィリアムズ、ユアン・マクレガー、マシュー・マクファデ
ィン、ニコラス・グリーヴス、シドニー・ジョンストン、サーシャ・ベアール、
エドワード・ヒューズ
＊シネパトス銀座ほかにて公開。順次全国公開
ホームページ http://blown-apart.com/
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＜ストーリー＞
ロンドン・イーストエンド。警察の爆弾処理班の夫と４歳の息子と暮らす若い
母親（ミシェル・ウィリアムズ）。しかし、夫婦関係が冷え切っていた彼女に
とって、息子だけが人生の全てだった。そんなある日、サッカー観戦に向かう
夫と息子を見送った彼女は、以前酒場で知り合い一度関係を持った新聞記者ジ
ャスパー（ユアン・マクレガー）と再会。またしても情事を楽しむ。だが、そ
の最中にスタジアムで大規模なテロが発生し、夫と息子が犠牲になってしまう
……。
＜レビュー＞
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不倫相手との情事の最中に息子を失った母親の心情を繊細に描写
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クリス・クリーヴの小説『息子を奪ったあなたへ』を『ブリジット・ジョーン
ズの日記』のシャロン・マグアイア監督が映画化。サスペンス色のある人間ド
ラマです。
主人公は警察の爆弾処理班に勤務する夫と4歳の息子を持つ母親。特殊な職業ゆ
え過酷な精神状態にある夫との関係がギクシャクする彼女は、たまたま出会っ
た新聞記者と不倫。ところが彼との情事中に、サッカースタジアムで大規模テ
ロが起こり、観戦に出かけた夫と息子が死んでしまいます。
それをきっかけにボロボロになっていく主人公を『ブロークバック・マウンテ
ン』のミシェル・ウィリアムズが熱演。事件直後の抜け殻のような虚ろな姿を
はじめ、後悔、嘆き、怒りなど様々な感情が湧き起こるようすを見事に演じ切
っています。心の中がひしひしと伝わってくる演技です。
中盤からはサスペンス的な展開になります。ユアン・マクレガー演じる主人公
の不倫相手の新聞記者が事件に疑問を持ち、その真相に迫っていきます。
その過程で浮上する謎のイスラム教徒の男。彼には息子がいます。主人公の母
親は失った子供への思いを胸に、彼に感情移入していきます。それが彼女の命
を危険にさらします。はたして事件の真相は何なのか？
その後の展開に期待したのですが、それほどのこともありませんでした。詳細
は伏せますが、事故の後、主人公に接近してきた夫の上司の事故に関連した秘
密が発覚します。それによって主人公の母親は、またしても大きなダメージを
受けます。
後半はサスペンスとしての魅力は消えてしまいますが、さらにどん底に落ち込
んで、ついには息子の幻覚を見てしまう主人公のドラマは見応え十分。
主人公の心情をオサマ・ビンラディンに宛てた手紙で吐露する構成も面白いと
ころ。しかも、一面的な正義VS悪の視点ではなく、あくまでも母親の立場で語
られます。テロという戦争のためには、犠牲者が出るのは仕方がないという9.1
1以降の世界情勢も背景として盛り込まれています。
ただし、問題なのはエンディング間際です。主人公はある大きな出来事によっ
て再生への道を歩むのですが、そこが映像と独白（オサマへの手紙）のみで構
成されること。おかげでアラアラという間に終わってしまい、何も心に残りま
せんでした。あそこはちゃんとドラマを展開させないとね。あれじゃユアン・
マクレガーもまったく生きていないし……。原作を読んだ人はともかく、そう
でない人にはちょっと理解しにくいのではないでしょうか。
≪ぽちの満足度≫
★★☆☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年1月30日（日）シネ・リーブル池袋にて。午後4時30分の回
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