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ブルーバレンタイン（BLUE VALENTINE）
（2010年 アメリカ）（上映時間1時間52分）
監督：デレク・シアンフランス
出演：ライアン・ゴズリング、ミシェル・ウィリアムズ、フェイス・ワディッ
カ、マイク・ヴォーゲル、ジョン・ドーマン
＊新宿バルト9、TOHOシネマズシャンテほかにて公開
ホームページ http://www.b-valentine.com/
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＜ストーリー＞
結婚７年目の夫婦、ディーン（ライアン・ゴズリング）とシンディ（ミシェ
ル・ウィリアムズ）。かわいい娘フランキーと一緒に暮らす２人だが、お互い
に不満を抱えて溝は深まるばかりだった。キャリア志向の看護師のシンディは、
ほとんど仕事もせず朝から酒を飲む夫の無気力さを嫌悪し、ディーンはそんな
妻の考えが理解できなかった。そんな中、ディーンは、２人の関係を修復すべ
くシンディをラブホテルへと誘うのだが……。
＜レビュー＞
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一組の夫婦の破局を、輝く回想との対比で描き出す
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夫婦の危機を描いたありがちなドラマ。なのにどうしてこんなに面白い（とい
うと語弊があるかもしれませんが）のでしょうか。この手のネタは苦手なのに、
２時間近くスクリーンから目が離せませんでした。
主人公夫婦は結婚７年目。夫ディーンはあまり仕事もせず、朝から酒を飲んだ
りしています。一方、妻シンディは昔は医者を志していて、今は病院で看護師
をしながら上を目指しています。
冒頭に登場するのは、そんな２人とかわいい娘のフランキーとの一見幸せな生
活。ただし、飼い犬の失踪という暗雲が……。
まもなく夫婦の間に、深刻な亀裂があることがわかります。この亀裂がどんど
ん大きくなって、修復不可能なところに至るまでを現在進行形で描写していま
す。しかし、それだけではありません。かつて２人が恋に落ちて、結婚に至っ
た日々の回想シーンが、タイミングよく挿入されます。
ドラマチックでキラキラと輝く過去の回想と、現在の疲れてヨレヨレになった
２人のコントラストが効果的です。７年という年月の変化を痛切に感じさせま
す。
しかも、２人の心理描写が半端でなくリアル。手持ちカメラを中心にアップを
多用したカメラワークが、それぞれの苦悩や混乱をドキュメンタリーのように
描き出します。監督のデレク・シアンフランスは、これまでドキュメンタリー
を中心に活躍してきたそうです。脚本も良く書けていて、どのセリフもリアル
に心に響いてきます。
この作品でアカデミー主演女優賞にノミネートされた妻役のミシェル・ウィリ
アムズと、夫役のライアン・ゴズリングの全身を使った感情表現も見事です。
過去と現在の風貌や雰囲気の違いも巧みに表現。
２人の最大の溝は、夫に外の世界に出て欲しい妻と、良き夫・父親として家庭
にいることに価値を見出す夫との考え方の違い。シチュエーションに違いはあ
れど、多くの男女にこうしたすれ違いはあるはず。それをこれだけリアルに描
かれたら、誰でも心にグサリと来るのでは？（特に結婚経験のある人は）
この手のドラマにありがちな、ラストの救いや希望の灯はありません。ハッ
ピーな気持ちで映画館を後にしたい人には、絶対にオススメできない映画。そ
の代わり、男女関係の深層に力強く迫った力作で、見応えは十分にあります。
個人的には、「ああ結婚なんてしなくてよかった」と思わされた一作だったり
して（笑）。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年4月24日（日）TOHOシネマズシャンテにて。午後2時20分の回
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